(a) まず \(|\mathbb{R}|\geq 2^\omega\) であること: \(\omega\) の部分集合 \(a\) に実数 \(\sum_{n\in a}3^{-n}\) を対応させれば冪集合 \(\mathcal{P}(\omega)\) から実数直線 \(\mathbb{R}\) への単射が得られる. つぎに \(|\mathbb{R}|\leq 2^\omega\) であること: 第11節で述べられたように個々の実数をデデキント切断の左組と解したことにより, \(\mathbb{R}\) は \(\mathcal{P}(\mathbb{Q})\) の部分集合である. いっぽう \(\mathbb{Q}\) は可算無限集合なので \[ |\mathbb{R}|\leq|\mathcal{P}(\mathbb{Q})|=2^{|\mathbb{Q}|}=2^\omega \] ということになる.
(b) 両端が有理数であるような実数の区間全体の集合 \(\mathcal{I}\) を考えよう. \(\mathcal{I}\) は可算集合である. 連続関数 \(f:\mathbb{R}\to\mathbb{R}\) は, ひとつひとつの有理数においてどんな値をとるかがわかれば一意的に指定されるので, 集合 \[ G(f)=\big\{\,\langle q,I\rangle\in\mathbb{Q}\times\mathcal{I}\;:\;f(q)\in I\,\big\} \] によって定まってしまう. この対応 \(G\) は連続関数の全体から可算集合 \(\mathbb{Q}\times\mathcal{I}\) の冪集合 \(\mathcal{P}(\mathbb{Q}\times\mathcal{I})\) への単射を定める. だから連続関数全体の集合の濃度は \(2^\omega\) 以下である. いっぽう, 定数関数を考えれば, \(2^\omega\) 以上の個数の連続関数が存在することは明らかである.
(c) 数直線上で, すべての区間を含む最小の \(\sigma\)-加法的集合族のことをボレル集合族といい, そのメンバーをボレル集合という. この定義では, ボレル集合族の濃度は判然としない. \(\sigma\)-加法的集合族の生成の過程がわかる別の特徴づけを与えよう.
実数直線上の可算個の開区間の和集合のことを開集合といい, その全体を \(\mathbf\Sigma^0_1\) とあらわす. \(\mathbb{R}\) の部分集合の集合 \(\mathbf\Sigma^0_\alpha\) が定義されたら, そのメンバーの補集合全体がなす集合を \(\mathbf\Pi^0_\alpha\) と書く. だから \(\mathbf\Pi^0_1\) は閉集合全体のなす集合族である. 順序数 \(\alpha\) 未満のすべての \(\xi\) について集合族 \(\mathbf\Pi^0_\xi\) が定まったら, \(\bigcup_{\xi<\alpha}\mathbf\Pi^0_\xi\) の可算個のメンバーの和集合を考え その全体を \(\mathbf\Sigma^0_\alpha\) と書く. この超限再帰によってすべての可算順序数について \(\alpha\) について \(\mathbf\Sigma^0_\alpha\) が定まったとして,
\[
\mathcal{B}=\bigcup_{\alpha<\omega_1}\mathbf\Sigma^0_\alpha
\]
とおけば, この \(\mathcal{B}\) がボレル集合族である. ここで最初の開集合の族 \(\mathbf\Sigma^0_1\) は, もともと \(2^\omega\) 個しかない区間の可算和の全体であるから, 濃度 \(2^\omega\) となる. \(\mathbf\Pi^0_\alpha\) のメンバーは補集合演算を介して \(\mathbf\Sigma^0_\alpha\) のメンバーと一対一に対応するから, \(\mathbf\Pi^0_\alpha\) と \(\mathbf\Sigma^0_\alpha\) は濃度が等しい. もしも, 可算順序数 \(\alpha\) 未満のすべての \(\xi\) について集合族 \(\mathbf\Pi^0_\xi\) の濃度が \(2^\omega\) とわかったとしたら, \(\bigcup_{\xi<\alpha}\mathbf\Pi^0_\xi\) の濃度も \(2^\omega\) となり, そこからの可算和のとりかたも高々 \(2^\omega\) 通りしかないことがわかるので, \(\mathbf\Sigma^0_\alpha\) の濃度も \(2^\omega\) とわかる. こうして, \(\aleph_1\) 個ある可算順序数 \(\alpha\) のすべてについて \(\mathbf\Sigma^0_\alpha\) の濃度が \(2^\omega\) とわかった. そこでそれら全部の和である \(\mathcal{B}\) の濃度もまた \(2^\omega\) である.
具体的な集合のサイズの評価というのはいつでもそうですが, (b)や(c)を証明するには, 連続関数とかボレル集合とかをどう表現ないし構成するかという点をハッキリさせる必要があります.
この解答に不具合を発見した方はぜひご指摘ください.