第I章 演習問題 [22]

本文53ページ(原書41ページ)の述語 \(\chi_{\mathrm{pf}}^T(v,w)\) を思い出そう. これは 「\(v\) は \(w\) の \(T\) からの形式的証明である」と読めるのだった. これを用いて, \[ \exists y\in\omega(x=2\cdot y) \land \neg\chi_{\mathrm{pf}}^{\mathrm{ZF}}(x,\ulcorner\exists v(v\neq v)\urcorner) \land \neg\chi_{\mathrm{pf}}^{\mathrm{ZF}}(x-\ulcorner1\urcorner,\ulcorner\exists v(v\neq v)\urcorner) \] という式を \(\psi(x)\) としよう. 仮定により, 事実として \(\mathrm{Con}(\mathrm{ZF})\) であるから, \(\chi_{\mathrm{pf}}^{\mathrm{ZF}}(\ulcorner{n}\urcorner,\ulcorner\exists v(v\neq v)\urcorner)\) をみたす自然数 \(n\) は存在せず, その結果として \(\psi(x)\) は偶数全体の集合を表現する. いっぽう, 式 \[ \forall x\in\omega\big(\psi(x)\lor \psi(x+\ulcorner{1}\urcorner)\big)\tag{1} \] は \(\mathrm{CON}^{\mathrm{ZF}}\) (→訳本53ページ, 原書41ページ)と同値であることが \(\mathrm{ZF}\) から証明できる. ゲーデルの第二不完全性定理 (→定理14.3) によれば \(\mathrm{CON}^{\mathrm{ZF}}\) は \(\mathrm{ZF}\) から証明できないので, この式(1)も \(\mathrm{ZF}\) から証明できない.

述語 \(\psi\) の定義式に出てくる引き算では, 便宜上ゼロひくイチはゼロと定義されているものとします.

解答者: 藤田 博司 (公開日: 2011年5月25日)
最終更新日: 2011年5月27日, \(\psi\) の定義をちょっと手直し.

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