第II章 演習問題 [11]

(a) \({}^\omega (\omega_1 + 1)\) について:

一般に, 全順序 \((X, \leq)\) 上の順序位相はハウスドルフであることを示す. 実際, \(x, y \in X\) かつ \(x < y\) のとき, もし \(x < z < y\) なる \(z \in X\) が存在するならば \(x \in \{\,w \in X \,:\, w < z\,\,\}\) と \(y \in \{\,w \in X \,:\, w > z\,\}\) が \(x\) と \(y\) を分離する開集合であり, またこのような \(z\) が存在しないならば \(x \in \{\,w \in X \,:\, w < y\,\}\) と \(y \in \{\,w \in X \,:\, w > x\,\}\) が \(x\) と \(y\) を分離する開集合である. このことから \(\omega_1 + 1\) も順序位相でハウスドルフなので, その直積空間 \({}^\omega (\omega_1 + 1)\) もハウスドルフである.

一般に, 最大元 \(x_{\max}\) を持つ整列順序 \(\langle X, \leq \rangle\) は順序位相に関してコンパクトであることを示す. そうすれば \(\omega_1 + 1\) もコンパクトであり, チコノフの定理により \({}^\omega (\omega_1 + 1)\) もコンパクトとなる. \(\mathcal{A}\) を \(X\) の任意の開被覆とする. ここで, \(x \in X\) のうち, \(\{\,y \in X \,:\, x \leq y\,\}\) が \(\mathcal{A}\) のある有限部分族で覆われるようなもの全体の集合を \(B\) と置く. \(x_{\max} \in B\) より \(B \neq 0\) なので, \(B\) の最小元 \(b\) が存在する. このとき \(b = \min X\) を示せばよいので, \(b > \min X\) と仮定して矛盾を導く. \(\{\,y \in X \,:\, b \leq y\,\}\) を被覆する \(\mathcal{A}\) の有限部分族 \(\mathcal{A}'\) を取り, \(b\) を含む \(A \in \mathcal{A}'\) を選んでおく. 順序位相の定義より, \(b \in I \subset A\) となる \(X\) の(有限または無限)開区間 \(I\) が存在する. このとき \(b\) の選び方から \(I\) は \(b\) より小さい元を含まないので, \(\min X \not\in I\) 即ち \(I\) は \((z, *)\) \((z \in X)\) の形の区間であり, \(b\) は \(z\) の後続元となる. すると \(z\) を含む \(\mathcal{A}\) の要素 \(A'\) について \(\{\,y \in X \,:\, z \leq y\,\}\) は \(\mathcal{A}' \cup \{A'\} \subset \mathcal{A}\) で覆われるので, \(z \in B\) となるが, これは \(b\) の選び方に矛盾する. 以上より \(\langle X, \leq \rangle\) は確かにコンパクトである.

まず, \(\alpha < \omega_1\) に対する \(a_\alpha = \{\,\beta < \omega_1 + 1 \,:\, 3 \cdot \alpha < \beta < 3 \cdot \alpha + 2\,\}\) たちは \(\omega_1 + 1\) の互いに交わらない \(\omega_1\) 個の空でない開集合なので, \(\omega_1 + 1\) はc.c.c.を満たさない. あとは, 一般に \(X\) がc.c.c.を満たさない位相空間であれば, 直積空間 \({}^\omega X\) はいたるところ非稠密な \(\omega_1\) 個の閉集合の和となることを示せばよい. \(X\) の空でない不可算個の開集合で互いに交わらないもの \(W_\alpha\) \((\alpha < \omega_1\)) を選んでおく. このとき \(H_\alpha = {}^\omega (X \setminus W_\alpha)\) は \({}^\omega X\) の閉部分集合である. 各 \(\alpha < \omega_1\) と \({}^\omega X\) の直積位相の開基の要素 \(U\) について, 直積位相の定義よりある \(n < \omega\) について \(U\) の射影 \(\{\,f(n) \,:\, f \in U\,\}\) は \(X\) 全体となるので, \(U \not\subset H_\alpha\) である. 従って \(H_\alpha\) はいたるところ非稠密である. さらに任意の \(f \in {}^\omega X\) について, 不可算個の \(W_\alpha\) たちは互いに交わりを持たないので, ある \(\alpha < \omega_1\) について \(\forall n < \omega [ f(n) \not\in W_\alpha ]\), 即ち \(f \in H_\alpha\) である. 以上より \({}^\omega X = \bigcup_{\alpha < \omega_1} H_\alpha\) なので主張が成り立つ.

(b) 可分でないヒルベルト空間 \(\mathcal{H}\) の単位球 \(B\) について

弱位相の下で, 定義より直ちに \(\mathcal{H}\) (従って \(B\)) はハウスドルフであり, またBanach-Alaogluの定理からの帰結により \(B\) はコンパクトである.

まず \(\omega_1\) 本のベクトルからなる正規直交系 \(\langle\,\mathbf{u}_\xi\,:\,\xi < \omega_1\,\rangle\) を \(\mathcal{H}\) から取り出そう. ベクトル \(\mathbf{v}\in\mathbf{H}\) に対して \((\mathbf{v},\mathbf{u}_\xi)\neq0\) をみたす \(\xi\) は高々可算個しかないので, \[ B = \bigcup_{\xi < \omega_1}\big(B\cap \{\mathbf{u}_\xi\}^\perp\big) \]である. \(B\cap \{\mathbf{u}_\xi\}^\perp\) は (\(\{\mathbf{u}_\xi\}^\perp\) が内積の値の等式で定義されているので) \(B\) の弱閉部分集合である. あとは \(B\cap\{\mathbf{u}_\xi\}^\perp\) が \(B\) において弱位相に関して至るところ非稠密であることを示せばよい. ベクトル \(\mathbf{a}\in B\) の弱近傍としては 有限個のベクトル \(\mathbf{v}_i\) \((i<n)\) と正の数 \(r>0\) によって \[ W = B\cap \big\{\,\mathbf{v}\,:\,|(\mathbf{v}-\mathbf{a},\mathbf{v}_i)| < r~(0\leq i< n)\,\big\} \] と定められる集合 \(W\) を考えればよい. ここで \(\mathbf{a}\) に \(1\) よりほんの少しだけ小さな実数 \(c\) を掛けることで, \(c\mathbf{a}\in W\) かつ \(\|c\mathbf{a}\|<1\) となるようにできるので, 以下では \(\|\mathbf{a}\|<1\) と仮定する. 正の数 \(\varepsilon\) を \[ |(\mathbf{a}\pm\varepsilon\mathbf{u}_\xi,\mathbf{v}_i)|<r \qquad (0\leq i< n) \] となるように十分小さくとろう. \(W\) は凸集合なので \(-\varepsilon\leq t\leq \varepsilon\) をみたす すべての実数 \(t\) について \(\mathbf{a}+t\mathbf{u}_\xi\in W\) となるが, このうち \((\mathbf{a}+t\mathbf{u}_\xi,\mathbf{u}_\xi)=0\) となる \(t\) は高々ひとつしかない. そこでこの値を避けつつ \(t\) をじゅうぶんにゼロに近くとれば \(\mathbf{a}+t\mathbf{u}_\xi\in W\setminus \{\mathbf{u}_\xi\}^\perp\) とできる. このように, どの \(\mathbf{a}\in B\) のどの弱近傍 \(W\) も \(B\cap \{\mathbf{u}_\xi\}^\perp\) に含まれることはないので, \(B\cap \{\mathbf{u}_\xi\}^\perp\) は \(B\) において弱位相の意味で至るところ非稠密である.

 

解答者: (a)縫田光司さん (b)藤田博司 (公開日: 2011年6月6日)

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