各 \(j = 1,2\) について \(\mathcal{B}_j\) を完備ブール代数とし, \(i_j \,:\, \mathbb{P} \to \mathcal{B}_j \setminus \{\mathbf{0}_j\}\) ( \(\mathbf{0}_j\) は \(\mathcal{B}_j\) の最小元) を補題3.3の条件を満たす写像とする. 記号を援用して, \(\mathcal{B}_j\) の順序をともに \(\leq\) と書く. \(b \in \mathcal{B}_j\) に対して \(L_j(b) = \{p \in \mathbb{P} \,:\, i_j(p) \leq b\}\) と定める. \(i_j\) の像は \(\mathcal{B}_j \setminus \mathbf{0}_j\) で稠密なので, \(b \in \mathcal{B}_j \setminus \{\mathbf{0}_j\}\) ならば \(L_j(b) \neq 0\) であることを注意しておく. また, \(b_1,b_2 \in \mathcal{B}_j\) かつ \(b_1 \wedge b_2 = \mathbf{0}_j\) ならば \(L_j(b_1) \cap L_j(b_2) = 0\) である. ここで, 写像 \(h_j \,:\, \mathcal{B}_j \to \mathcal{B}_{3-j}\) を \(h_j(b) = \bigvee \{i_{3-j}(p) \,:\, p \in L_j(b)\}\) で定める. \(b_1,b_2 \in \mathcal{B}_j\) かつ \(b_1 \leq b_2\) ならば, \(L_j(b_1) \subset L_j(b_2)\) なので, \(h_j(b_1) \leq h_j(b_2)\) となる.
補題 1 \(b \in \mathcal{B}_j\) について \(b = \bigvee \{i_j(p) \,:\, p \in L_j(b)\}\).
証明 右辺の元を \(c\) と置くと \(c \leq b\) である. \(c < b\) と仮定し \(x = b \wedge c'\) と置くと, \(x \neq \mathbf{0}_j\) であり, ある \(p \in L_j(x)\) が存在する. このとき \(x \leq b\) なので \(p \in L_j(b)\) であり, 従って \(c\) の定義より \(p \in L_j(c)\) となるが, \(x \wedge c = \mathbf{0}_j\) なので矛盾である. よって \(b = c\) である. \(\square\)
補題 2 \(b_1,b_2 \in \mathcal{B}_j\), \(b_1 \wedge b_2 = \mathbf{0}_j\) のとき, 任意の \(p_1 \in L_j(b_1)\) と \(p_2 \in L_j(b_2)\) について \(p_1 \perp p_2\) かつ \(i_{3-j}(p_1) \wedge i_{3-j}(p_2) = \mathbf{0}_{3-j}\) . 従って \(h_j(b_1) \wedge h_j(b_2) = \mathbf{0}_{3-j}\).
証明 \(i_j(p_1) \leq b_1\) かつ \(i_j(p_2) \leq b_2\) なので \(i_j(p_1) \wedge i_j(p_2) = \mathbf{0}_j\) であり, \(i_j\) の条件(3)より \(p_1 \perp p_2\), さらに \(i_{3-j}\) の条件(3)より \(i_{3-j}(p_1) \wedge i_{3-j}(p_2) = \mathbf{0}_{3-j}\) が成り立つ. \(\square\)
補題 3 \(b \in \mathcal{B}_j\) について \(L_{3-j}(h_j(b)) = L_j(b)\).
証明 \(L_{3-j}(h_j(b)) \supset L_j(b)\) は自明なので \(L_{3-j}(h_j(b)) \subset L_j(b)\) を示せばよい. \(p \in L_{3-j}(h_j(b))\) とすると, 補題2より \(h_j(b) \wedge h_j(b') = \mathbf{0}_{3-j}\) なので, 任意の \(q \in L_j(b')\) ( \(\subset L_{3-j}(h_j(b'))\) ) について \(i_j(p) \wedge i_j(q) = \mathbf{0}_j\) となる. これより \(i_j(p) \wedge b' = \mathbf{0}_j\), 従って \(i_j(p) \leq b\) となる. よって \(p \in L_j(b)\) となり主張が成り立つ. \(\square\)
補題1と補題3より \(h_1\) と \(h_2\) は互いの逆写像であり, どちらも順序を保つので, これらは同型写像である. また \(p \in \mathbb{P}\) について, \(p \in L_j(i_j(p))\) より \(i_{3-j}(p) \leq h_j(i_j(p))\) なので, \(h_{3-j}(i_{3-j}(p)) \leq h_{3-j}(h_j(i_j(p))) = i_j(p)\) となる. \(j\) と \(3-j\) に変えると最後の式は \(h_j(i_j(p)) \leq i_{3-j}(p)\) となり, 上と合わせて \(h_j(i_j(p)) = i_{3-j}(p)\) となる. 以上より \(h_j \circ i_j = i_{3-j}\) なので, 主張が成り立つ.
注意 この証明において \(i_j\) の条件(2)は用いられていないので, 条件(1)と(3)だけから一意性が導かれる.
実際, 条件(1)と条件(3)から条件(2)が導かれます. また, ここで定義された \(L_j\) は, \(\mathcal{B}_j\) から本文(訳本85ページ, 原著64ページ)で定義された \(\mathrm{ro}(\mathbb{P})\) への同型写像になっています. それを検証する作業は (ここに掲載された証明とほとんど同じことにはなりますが) 完備化の一意性の別証明を与えることになります.