第III章 演習問題 [14]

関係 \(\mathbf{R}\) の定義 \[ x\mathbf{R}y\;\leftrightarrow\;\langle x,1\rangle\in y \] により, \(x\mathbf{R}y\) のとき \(x\in\mathrm{tr\,cl}(y)\) である. これにより \( \mathrm{pred}(y,\mathbf{WF},\mathbf{R})\subset\mathrm{tr\,cl}(y)\) だから \(\mathbf{R}\) は集合状である. また \(x\mathbf{R}y\) のとき \(\mathrm{rank}(x)<\mathrm{rank}(y)\) だから \(\mathbf{R}\) は整礎的である(→演習問題[13]の解答). こうして, モストフスキ収縮写像 \(\mathbf{G}\) が定義できる.

整礎集合 \(y\) に対する集合 \(\check y\) を \(\in\) に関する超限再帰で \[ \check y = \big\{\, \langle \check x, 1\rangle\,:\, x\in y\,\big\} \] と定義したとしよう. この定義から \[ z\mathbf{R}\check y\;\leftrightarrow\;\exists x\in y\big(\,z=\check x\,\big), \] したがって \(\mathrm{pred}(\check y,\mathbf{WF},\mathbf{R})=\{\,\check x\,:\,x\in y\,\}\) となっている. そこで, いま \(y\) のすべての要素 \(x\) について \(\mathbf{G}(\check x)=x\) となっていると仮定すれば, \[ \mathbf{G}(\check y)=\big\{\,\mathbf{G}(z)\,:\,z\mathbf{R}\check y\,\big\} = \big\{\,\mathbf{G}(\check x)\,:\,x\in y\,\big\} = \big\{\,x\,:\,x\in y\,\big\} = y \] となるから, \(\mathbf{WF}\) 上の整礎的な関係 \(\in\) に関する超限帰納法により, すべての整礎集合 \(y\) について \(\mathbf{G}(\check y)=y\) となることがわかる.

このチェック演算の \(1\) という成分を他のいろいろなものに変更して “チェックもどき” を作るという着想が, のちのち大活躍することになります.

解答者: 藤田 博司 (公開日: 2011年6月10日)
2011年7月14日更新: 式の誤植一箇所修正

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