第IV章 演習問題 [23]

可算無限個の集合 \(a_n\) \((n\in\omega)\) を, 重複のないように, また, \(\forall m\forall n(a_m\notin a_n)\) となるようにとる. すると, \(\{a_n\}\) \((n\in\omega)\) も互いに異なり, またこれらと \(a_n\) \((n\in\omega)\) のあいだにも重複がない. この状況で \[ U = \{\,a_n\,:\,n\in\omega\,\} \]とおき, さらに写像 \(\mathbf{F}:\mathbf{V}\to\mathbf{V}\) を \[ \mathbf{F}(x) = \begin{cases} \{a_n\},&\text{if }x=a_n,\\ a_n, &\text{if }x=\{a_n\},\\ x, &\text{otherwise} \end{cases} \]と定めよう. \(\mathbf{F}\) は \(\mathbf{V}\) からそれ自身への全単射であり, とくに \(\mathbf{F}(U)=U\) である. 二項関係 \(\mathbf{E}\) を \[ x\mathrel{\mathbf{E}}y\;\leftrightarrow\;x\in\mathbf{F}(y) \]によって定めれば, 演習問題[18]の結果により, \(\mathbf{V},\mathbf{E}\) は \(\mathrm{ZF}^{-}\) のモデルである. このモデルについては, 演習問題[19]の場合と同様にして \[ \Big(\forall x\in U\big(\,x=\{x\}\,\big)\Big)^{\mathbf{V},\mathbf{E}} \]となることがわかる.

そこで, 以後は \(\mathrm{ZF}^{-}\) で議論し, \(U\) を \(\forall x\in U(x=\{x\})\) をみたす無限集合であるものとする. この \(U\) は推移的集合である. というのも, どの要素 \(x\in U\) も \(x\) 自身をただ一つの要素とする集合であって, \(x=\{x\}\subset U\) となるからである. とくに, 演習問題[22]の階層 \(R(\alpha,U)\) においては \[ R(0,U)=\{U\}\cup\mathrm{tr\,cl}(U)=\{U\}\cup U \]である. そこで \(\mathbf{WF}(U)\) は \(U\) を要素とする \(\mathrm{ZF}^{-}\) の推移的クラスであり, しかも \(\alpha\) にかんする超限帰納法によって \[ \forall \alpha\Big(\,\big(R(\alpha,U)\big)^{\mathbf{WF}(U)}=R(\alpha,U)\,\Big) \]であることがわかる. したがって, \[ \Big(\,\mathbf{V}=\mathbf{WF}(U)\,\Big)^{\mathbf{WF}(U)} \]となる. 最後に, 式 \(\forall x\in U\,(x=\{x\})\) は \[ \forall x\in U\Big(\,x\in x\land \forall y\in x\,(\,y=x\,)\,\Big) \]という \(\mathit\Delta_0\) 式と同値なので \(\mathbf{WF}(U)\) に対して絶対的であり, \[ \Big(\forall x\in U\big(\,x=\{x\}\,\big)\Big)^{\mathbf{WF}(U)} \]となっている. 以上ですべての必要事項が確かめられた.

 

解答者: 藤田 博司 (公開日: 2011年7月2日)

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