まず, \(S\) の公理のリスト \(\langle\,\phi_i\,:\,i<\omega\,\rangle\) が再帰的関数として与えられているので, \(\langle x,{\in}\rangle\) が \(S\) のモデルであることを意味する式 \(x\models \ulcorner S\urcorner\) を書き下すことができる. そこで, ヒントにあるように \[ \forall x\,\big(\,\psi(x)\,\rightarrow\,x\models \ulcorner S\urcorner\,\big) \]という式を \(\chi\) と書くことにしよう.
個別の \(n=0,1,2,\ldots\) については, 仮定より \(S\) から \(\forall x\,(\psi(x)\,\rightarrow\,(\phi_n)^x)\) が証明されるから, \[ S\;\vdash\;\forall x\,\big(\,\psi(x)\,\rightarrow\,x\models\phi_{\ulcorner n\urcorner}\,\big) \]でもある. いっぽう \[ \forall i\in \omega\forall x\,\big(\,\psi(x)\,\rightarrow\,x\models\phi_i\,\big) \]からは \(\chi\) が導かれる. このことは, \(S\cup\{\neg\chi\}\) が \(\omega\)-矛盾することを意味する.
つぎに \(S\cup\{\chi\}\) を吟味する. \(S\) から \(\exists x\psi(x)\) が導かれ, \(\chi\) は \(\psi(x)\) なら \(\langle x,{\in}\rangle\) が \(S\) のモデルであるという主張である. \(S\) はモストフスキ同型定理を証明するから, \(S\cup\{\chi\}\) からは \(S\) の推移的モデルが存在することが導かれる. いま 《\(\,x\) は推移的集合で \(x\models \ulcorner S\urcorner\) をみたす》 という式を \(\theta(x)\) と書くことにすると, \(S\cup\{\chi\}\,\vdash\,\exists M\theta(M)\) である. \(\theta\) は \(S\) の推移的モデルに対して絶対的なので, \(\theta(M)\) をみたす集合 \(M\) のうち階数が最小のものを考えれば \[ \theta(M)\land\big(M\not\models\exists x\theta(x)\big) \] である. しかしながら, \(M\) が \(S\) のモデルであるかぎり \[ M\models \exists x\,\psi(x) \]ではあるし, \(M\) がモストフスキ同型定理のモデルであることも間違いないのだから, \(\theta(M)\) をみたす最小階数の \(M\) については \[ M\models\neg \chi \]であることになる. ここで前半の議論を思いだすと, \(M\) が \(S\) のモデルならば, 個別の \(n=0,1,2,\ldots\) について \[ M\models\forall x\big(\,\psi(x)\,\rightarrow\,x\models\phi_{\ulcorner n\urcorner}\,\big) \]であり, そのいっぽうで \(M\models\neg\chi\) ということは \[ M\models\exists i\in\omega\Big(\neg\forall x\,\big(\,\psi(x)\,\rightarrow\,x\models\phi_i\,\big)\Big) \]ということを意味する. この両方が, \(\theta(M)\) をみたす最小階数の \(M\) で必ず成立する. そこで, 《\(\,M\) は \(\theta(M)\) をみたす最小階数の集合である》 と主張する式を \(\theta'(M)\) とすれば, \[ \sigma(i)\equiv \forall M\Big[\,\theta'(M)\,\rightarrow\,\big(M\models\forall x(\psi(x)\,\rightarrow\,x\models \phi_i)\big)\Big] \]と定めた式 \(\sigma(i)\) が \(S\cup\{\chi\}\) の \(\omega\)-矛盾の例となる.
こうして \(S\cup\{\neg\chi\}\) と \(S\cup\{\chi\}\) がどちらも \(\omega\)-矛盾することがわかったので, 演習問題[33]の結果により \(S\) 自身が \(\omega\)-矛盾することがわかる.