第VI章 演習問題 [14]

\(\kappa\) を正則基数として \(E \subset \kappa\) を定常集合とする.各 \(\alpha \lt \kappa\) に対して \(A_\alpha \subset \alpha\) を満たす列 \(\langle A_\alpha : \alpha < \kappa \rangle\) が \(\diamondsuit(\kappa,E)\)-列であるとは次の条件を満たすことであった.

任意の \(A \subset \kappa\) に対して \(\{\alpha \in E : A \cap \alpha = A_{\alpha}\}\) は \(\kappa\) の定常集合.

\(\mathbf{V}=\mathbf{L}\) のとき \(\diamondsuit(\kappa,E)\)-列が存在することを示す.

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補題: \(\lambda\) を極限順序数とする.\(\kappa < \lambda\) を不可算正則基数とする.\(X \subset L({\lambda})\) が \(|X|<\kappa\) を満たすと仮定する.このとき \(X \subset M \prec L({\lambda})\) で \(|M|<\kappa\) かつ \(\kappa \cap M \in \kappa\) を満たす \(M\) が存在する.

(補題の証明) \(L(\lambda)\) の初等的部分構造の増大列 \(\langle M_n : n \in \omega \rangle\) を次のように定義する.

\(M_0\) は \(X \subset N\),\(|N|<\kappa\),\(N \prec L(\lambda)\) を満たす \({\lt}_{L}\)-最小の \(N\).
\(\alpha_{0} = \kappa \cap M_{0}\).
\(M_{n+1}\) は \(M_n \cup \{\alpha_n\} \subset N\),\(|N|<\kappa\),\(N \prec L(\lambda)\) を満たす \({\lt}_{L}\)-最小の \(N\).
\(\alpha_{n+1} = \kappa \cap M_{n+1}\).

\(M = \bigcup_{n \in \omega} M_n\),\(\alpha = \kappa \cap M\) とすれば,\(M \prec L(\lambda)\) が成り立ち,\(\kappa\) の正則性により \(|M|<\kappa\) であり \(\alpha=\sup_{n \in \omega} \alpha_n \in \kappa\) である. (証明終)

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\(\mathbf{V}=\mathbf{L}\) のとき \(\diamondsuit(\kappa,E)\)-列が存在することの証明: 以降 \(L(\kappa^{+})\) で議論する.\(\diamondsuit\)-列の存在証明と同様に \(\xi<\alpha\) の部分集合からなる列 \(\langle A_\xi : \xi < \alpha \rangle\) が定義されている場合に,論理式 \(\varphi(\alpha, E, A, C)\) を次のように定める.

\(A \subset \alpha\),
\(C \subset \alpha\) は \(\alpha\) の閉非有界集合,
\(\forall \xi \in E \cap C (A \cap \xi \neq A_{\xi})\).

この定義により,\(\mathrm{ZF}-\mathrm{P}\) を満たし \(\langle A_\xi : \xi < \alpha \rangle\) を要素とする推移的集合に対して \(\varphi(\alpha, E, A, C)\) は絶対的となる.

\(\alpha<\kappa\) に対して \(\alpha\) の部分集合の対の列 \(\mathcal{A} = \langle (A_\alpha, C_\alpha) : \alpha < \kappa \rangle\) を次のように定義する.\(\alpha\) が \(0\) もしくは後続順序数のとき \(A_\alpha = C_\alpha = \emptyset\).\(\alpha\) が極限順序数で \(\varphi(\alpha, E, A, C)\) を満たす \(A, C\) が存在するときその対 \((A, C)\) で \(<_L\) - 最小のものを \((A_\alpha, C_\alpha)\) とする.存在しない場合 \(A_\alpha = C_\alpha = \emptyset\) とする.\(\langle A_\alpha : \alpha < \kappa \rangle\) が \(\diamondsuit(\kappa,E)\)-列になることを示す.そうでないと仮定すると \(A \subset \kappa\) と \(\kappa\) の閉非有界集合 \(C \subset \kappa\) が存在して \[ \forall \xi \in E \cap C (A \cap \xi \neq A_{\xi}) \] を満たす.すなわち,\(\varphi(\kappa, E, A, C)\) が成立するような \(A\) と \(C\) が存在する.

\(\varphi(\kappa, E, A, C)\) を満たす \({\lt}_{L}\) 最小の対を \((A_{\kappa}, C_{\kappa})\) とする.ここで \(L(\kappa^{+})\) の初等的部分構造からなる増大列 \(\langle M_\alpha : \alpha < \kappa \rangle\) を次のように定義する.

\(M_0\) は \(E \in N\),\(|N|<\kappa\),\(\kappa \cap N \in \kappa\),\(N \prec L(\kappa^{+})\) を満たす \({\lt}_L\)-最小の初等的部分構造 \(N\).
\(M_{\alpha+1}\) は \(M_{\alpha} \cup \{M_\alpha\} \subset N\),\(|N|<\kappa\),\(\kappa \cap N \in \kappa\),\(N \prec L(\kappa^{+})\) を満たす \({\lt}_L\)-最小の初等的部分構造 \(N\).
\(\alpha\) が極限順序数のとき \(M_{\alpha} = \bigcup_{\xi \lt \alpha} M_{\xi}\).

\(\kappa\) は正則基数なので \(|M_\alpha|<\kappa\) である.\(\xi < \kappa\) に対して \(\alpha_{\xi} = \kappa \cap M_\xi\) とすると \(\langle \alpha_{\xi} : \xi < \kappa \rangle\) は連続であり真の増加である.従って \(Z=\{\xi < \kappa : \alpha_{\xi} = \xi \}\) は \(\kappa\) の閉非有界集合となるので \(Z \cap E \cap C_\kappa \neq \emptyset\) である.\(\beta \in Z \cap E \cap C_\kappa\) を最小の要素とする.そして \(M=M_\beta\) とする.\(\kappa \cap M = \alpha_{\beta} = \beta\) である.ここまで準備すると \(\diamondsuit\)-列の存在証明と同様である.\(\kappa = \sup E\) であることに留意すると (\(\kappa\) が \(L(\kappa^{+})\) で最大の基数として定義可能であることでも良いが,\(L(\kappa^{+})\) で \(\kappa\) と \(\kappa^{+}\) 間に基数が存在しないことは証明が必要であると思われる) 次が成立する. \[ \kappa \in M,\mathcal{A} \in M,E \in M,(A_{\kappa}, C_{\kappa}) \in M \] \(\pi:M \to L(\gamma)\) を \(M\) の推移的崩壊とする. \[ M \models \varphi(\kappa, E, A_\kappa, C_\kappa) \] が成り立つので \[ L(\gamma) \models \varphi(\pi(\kappa), \pi(E), \pi(A_\kappa), \pi(C_\kappa)) \] が成り立つ.さらに次式が成立する. \[ \pi(A_\kappa) = \{\pi(\xi) : (\xi \in A_\kappa)^M\} = \{\pi(\xi) : \xi \in A_\kappa \cap M\} = \{\pi(\xi) : \xi \in A_\kappa \cap \beta \} = \{\xi : \xi \in A_\kappa \cap \beta \} = A_{\kappa}\cap \beta. \] 同様に \(\pi(C_\kappa) = C_\kappa \cap \beta\),\(\pi(E) = E \cap \beta\) が成り立つ.したがって (1) が成り立つ. \[ L(\gamma) \models \varphi(\beta, E\cap \beta, A_\kappa \cap \beta, C_\kappa \cap \beta) \tag{1} \] そして \((A_\kappa \cap \beta, C_\kappa \cap \beta)\) は (1) を満たす \({\lt}_{L}\)-最小の要素である.したがって \((E \cap \beta) \cap (C_\kappa \cap \beta) = E \cap (C_\kappa \cap \beta)\) に留意すると (2) が成立する. \[ L(\kappa^{+}) \models \varphi(\beta, E, A_\kappa \cap \beta, C_\kappa \cap \beta) \tag{2} \] そして \((A_\kappa \cap \beta, C_\kappa \cap \beta)\) は (2) を満たす \({\lt}_{L}\)-最小の要素である.すると定義可能性により \(\diamondsuit\)-列の存在証明と同様に \(A_\beta = A_\kappa \cap \beta\) が成り立つが,この事実は \(\beta \in E \cap C_\kappa\) と \(\forall \xi \in E \cap C_\kappa (A_\kappa \cap \xi \neq A_\xi)\) に反する.(証明終)

(参考文献) Keith J.Devlin, Constructibility, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg New York Tokyo, 1984.

 

解答者: 鏡 弘道さん (公開日: 2012年6月23日)

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