第VII章 演習問題 [B1]

第VII章における補題2.11より後の議論で\(\mathbb{P}\)-名前 \(\check{x}\) が用いられる際は, 実際には補題2.11の(a)に示された性質だけが用いられており,\(\check{x}\)の具体的な構成法(定義2.10)は問題とされていない. そこで,この \(\check{x}\) の新しい定義のもとで補題2.11の(a)が成り立つことを示せば十分である.

まず,第IV章定理5.6を用いるために,\(\mathbf{A}\)を順序対\(\langle x,\mathbb{P} \rangle\)であって\(\mathbb{P}\)が半順序であるもの全体のクラス,関係\(\mathbf{R}\)を\(\langle x,\mathbb{P} \rangle \mathbf{R} \langle y,\mathbb{Q} \rangle \leftrightarrow \mathbb{P} = \mathbb{Q} \land x \in y\)とする. また,\(\mathbf{G}(\langle 0,\mathbb{P} \rangle) = 0\)とし,\(x \neq 0\)なる(つまり,\(\mathbf{R}\)-極小でない)\(\langle x,\mathbb{P} \rangle \in \mathbf{A}\)に対して関数\(\mathbf{G}\)の値を定義する式(関数\(\mathbf{F}\)の定義)を \[ \forall y \in x \forall p \in \mathbb{P}[\langle \mathbf{G}(\langle y,\mathbb{P} \rangle),p \rangle \in \mathbf{G}(\langle x,\mathbb{P} \rangle)] \land \forall z \in \mathbf{G}(\langle x,\mathbb{P} \rangle) \exists y \in x \exists p \in \mathbb{P}[z = \langle \mathbf{G}(\langle y,\mathbb{P} \rangle),p \rangle] \] とする.この式はZFCの推移的モデルに対して絶対的な概念を\(\Delta_0\)式へ代入したものなので,第IV章の論法により関数\(\mathbf{F}\)は補題2.11の前提のような\(M\)に対して絶対的であり,第IV章定理5.6の条件(1)が成り立つ.

(細かいことを言うと,順序対に対してその第1成分や第2成分を対応させる関数も,直接証明するか,またはやや回りくどいけれども順序対と単元集合と関係の\(\mathrm{dom}\)および\(\mathrm{ran}\)の絶対性を示す第IV章定理3.9と定理3.11を駆使することで,\(M\)に対して絶対的なので,\(\mathbf{F}\)の定義において\(\mathbf{A}\)の要素を初めから\(\langle x,\mathbb{P} \rangle\)と成分表示しておいても問題は生じない.)

また,\(M\)が推移的なことと,半順序であるという性質の絶対性より,第IV章定理5.6の条件(2)も成り立つ. よって関数\(\mathbf{G}\)は\(M\)に対して絶対的である. また,補題2.11の前提のような\(\mathbb{P}\)と\(x \in M\)に対して,上記の\(\mathbf{F}\)の定義に基づく超限帰納法により,\(\mathbf{G}(\langle x,\mathbb{P} \rangle)\)は(新しい定義による,半順序\(\mathbb{P}\)によって定まる) \(\check{x}\)と一致する. よって\(\check{x} = (\check{x})^M \in M\)が成り立つ. 残りの性質 \(\mathrm{val}(\check{x},G) = x\) については,元々の補題2.11と同様に,\(\mathrm{val}(\check{0},G) = \mathrm{val}(0,G) = 0\)かつ超限帰納法によって\(\mathrm{val}(\check{x},G) = \{\mathrm{val}(\check{y},G) \mid y \in x\} = \{y \mid y \in x\} = x\)が成り立つ.(証明終)

 

解答者: 縫田 光司さん (公開日: 2014年5月8日)

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