第VII章 演習問題 [C4]

本題に入るまえに二つ注意しておく.

(補足)アトムのない半順序では,そのいかなる元 \(p\) についても, \(p\) 以下の元からなる可算無限な反鎖が存在する.このことは[F1]の解答内でも証明してある.

(補題) アトムのない半順序において \(q < r\) なるように2元 \(q,r\) が取られているとき, \(\{\, s \in \mathbb{P} \,:\,s \leq r \,\}\) の可算無限な極大反鎖 \(A\) で \(\exists x \in A (x \leq q)\) となるものが存在する.

この補題が成り立つことも明らかである.(補足)の定理を \(q\) に対して使用し,得られた可算無限な反鎖を \(\{\, s \in \mathbb{P}\,:\,s \leq r \,\}\) の反鎖として極大なものに拡張すればよい.

本題の証明に入る.\(\mathbb{Q}=\{\, q \in \mbox{Fn}(\omega,\omega)\,:\,\mbox{dom}(q) \in \omega \,\}\) とおく.\(\mathbb{P} = \{\, p_n\,:\,n \in \omega\,\}\) とおく.

\(\mathbb{Q}\) から可算でアトムのない半順序 \(\mathbb{P}\) への写像 \(i\) (とそれに付随する \(A_n,k_n\) )を以下のように再帰的に定義する:

まず, \(1_{\mathbb{P}} = i(\emptyset)\) とする.\(A_0 = \{i(\emptyset)\}\) とする.このとき, \(A_0\) は \(\mathbb{P}\) の極大反鎖である.

その時点までの再帰的定義によって \(|q|=n \) なる全ての \(q \in \mathbb{Q}\) に対しての \(i(q)\) と, \(\mathbb{P}\) の極大反鎖 \(A_n \subset i''\mathbb{Q}\) が定まっていて,かつ, \(|q|=n+1\) なる \(q \in \mathbb{Q}\) に対しての \(i(q)\) は一つも定まっていないとする.

このとき, \(k_n = \min\{\, k \in \omega\,:\,\forall x \in A_n(x \nleq p_k) \,\}\) とおく.\(p_{k_n}\) は \(A_n\) のある元 \(y_n\) と両立するので,それらの共通拡大を \(x_n\) とする.\(x_n < p_{k_n} \wedge x_n < y_n\) である.

(補題)を適用し, \(\{\, s \in \mathbb{P}\,:\,s \leq y_n \,\}\) の可算無限な極大反鎖で, \(x_n\) 以下である元を少なくとも一つ持つものをとる.\(y_n = i(q)\) と表されるとき,この反鎖を \(\{\, q^n_m\,:\,m \in \omega \,\}\) と整列し, \(q^n_m = i(q \cup \{ \langle n,m \rangle \})\) と定める.

各 \(i(q) \in A_n \setminus \{y_n\}\) に対してはそれぞれ, \(\{\, s \in \mathbb{P}\,:\,s \leq i(q) \,\}\) の可算無限な極大反鎖を任意にとって,それを \(\{\, q^n_m\,:\,m \in \omega \,\}\) と整列し, \(q^n_m = i(q \cup \{ \langle n,m \rangle \})\) と定める.

そして, \(A_{n+1} = \{\, i(q \cup \{ \langle n,m \rangle \})\,:\,q \in \mathbb{Q} \wedge |q|=n \wedge m \in \omega \,\}\) とする.これは \(\mathbb{P}\) の極大反鎖で \(A_{n+1} \subset i''\mathbb{Q}\) である.また構成から,明らかに \(\exists x \in A_{n+1} ( x \leq p_{k_n} )\) である.

この \(i\) が稠密埋め込み写像になっていることを示す.定義7.7.の条件(1),(2),(3)が成り立つことを示せばよい.しかし,(1),(2),(3)が成り立つことははいずれも構成法からすぐに確かめられる.

特に(3)を示す.\(p \in \mathbb{P}\) とする.\( p = p_n \) とする.各 \(m \in \omega\) について, \(\exists z \in A_{m+1} ( z \leq p_{k_m} )\) が成り立つことと,「 \( i<j \longrightarrow \forall x \in A_i \exists y \in A_j (y \leq x) \) 」が成り立つことにより,各 \(m \in \omega\) について \(k_m < k_{m+1}\) である.よって, \(n < k_{n+1}\) である.\(k_{n+1}\) の定義により, \(z \leq p_n\) なる \(z \in A_{n+1} \subset i''\mathbb{Q}\) が存在する.

 

解答者: 田尻 翔平さん (公開日: 2013年6月4日)

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