まず, 語の定義と, 使用する補題について説明する.
定義:完備ブール代数\(\mathcal{B}\)の部分集合 \(E\) がpredenseであるとは, 演習問題[A12]の(c)の条件を満たすこと, すなわち, \(E \subset \mathcal{B}\) であって, \(\forall p \in \mathcal{B}\setminus{\{0\}} \exists q \in E (p \wedge q >0)\) を満たすことである.
補題1: predenseな集合の上限は1である.
(証明) \(E\) をpredenseな集合とする. \(\bigvee_{b \in E} b < 1\) と仮定すると, その補元は \(\bigwedge_{b \in E} b' > 0\) である. ここで, どんな \(E\) の元 \(c\) についても, \((c \wedge \bigwedge_{b \in E} b') \leq c \wedge c' = 0\) が成り立つので \(E\) がpredenseであることに反する. よって, \(\bigvee_{b \in E} b = 1\) である.
補題2: \(\mathcal{B} \in M\) を完備ブール代数とし, \(F \subset \mathcal{B}\) を \(M\) 上 \(\mathcal{B}\)-ジェネリックフィルターとする. このとき, \(F\) は \(\mathcal{B}\) の超フィルターである.
(証明) \(a \in \mathcal{B}\) を任意にとる. \(\{a,a'\} \in M\) はpredenseである. [A12]の結果により, \(F \cap \{a,a'\} \neq \emptyset\) なので, \(a \in F\) または \(a' \in F\) である. よって, \(F\) は \(\mathcal{B}\) の超フィルターである.
補完説明: 問題文で言及されている, 「\(\mathcal{B}\) の超フィルター \(F\) に対応する \(\mathcal{B}\) から二値ブール代数への準同型写像 \(h\)」とは「各 \(a \in \mathcal{B}\) に対して, \(h(a)=1 \longleftrightarrow a \in F\) かつ \(h(a)=0 \longleftrightarrow a \notin F\)」とすることにより定義される写像のことである. これが実際に準同型であることは, 後で証明する.
本題の証明: \(F \subset \mathcal{B}\) を \(M\) 上 \(\mathcal{B}\)-ジェネリックフィルターとする. 補題2により, \(F\) は超フィルターなので, 補完説明の通りに \(F\) に対応する写像 \(h\) を定義する. このとき, \(F\) が超フィルターであることにより, 以下のことが成り立つ: \(a,b \in \mathcal{B}\) とする.
- \(h(a \vee b)=1\) のとき,
\(a \vee b \in F\),
∴ \(a' \wedge b' \notin F\),
∴ \(a' \notin F\) または \(b' \notin F\),
∴ \(a \in F\) または \(b \in F\),
∴ \(h(a) \vee h(b) = 1\).
- \(h(a \vee b)=0\) のとき,
∴ \(a \vee b \notin F\),
∴ \(a \notin F\) かつ \(b \notin F\),
∴ \(h(a) \vee h(b) = 0\).
- \(h(a \wedge b)=1\) のとき,
\(a \wedge b \in F\),
∴ \(a \in F \) かつ \(b \in F\),
∴ \(h(a) \wedge h(b) = 1\).
- \(h(a \wedge b)=0\) のとき,
\(a \wedge b \notin F\),
∴ \(a \notin F\) または \(b \notin F\),
∴ \(h(a) \wedge h(b) = 0\).
- \(h(a)=1\) のとき,
\(a \in F\),
∴ \(a' \notin F\)
∴ \(h(a')=0\).
- \(h(a)=0\) のとき,
\(a \notin F\),
∴ \(a' \in F\),
∴ \(h(a')=1\).
よって, \(h\) はブール準同型写像である. さらに, \(F\) が \(M\) 上 \(\mathcal{B}\)-ジェネリックであることから, 以下のことが成り立つ: \(S \in M\), \(S \subset \mathcal{B}\) とする.
\(h(\bigvee S)=1\)とする. このとき, \(\bigvee S \in F\) である. \(\{ a \in \mathcal{B} : \exists c \in S(a \leq c) \}\) は \(\bigvee S\) 以下で稠密である. 補題2.20(b)から, \(a \leq c \) を満たす \(a \in F\) と \(c \in S\) をとる. このとき, \(c \in F\) である. よって, \(h(c)=1\) であり, \(\bigvee \{ h(b) : b \in S \}=1=h(\bigvee S)\) である.
\(h(\bigvee S)=0\)とする. このとき, \(\bigvee S \notin F\) である. よって, \(S\) のどんな元 \(b\) についても, \(b \notin F\) であり, \(h(b)=0\) である. よって, \(\bigvee \{ h(b) : b \in S \}=0=h(\bigvee S)\)である.
よって, \(\bigvee \{ h(b) : b \in S \}=h(\bigvee S)\) である.
以上より, [D1]における「〜が, 必要」であることが証明された. 次に"十分性"を示す.
\(F \subset \mathcal{B}\) を \(\mathcal{B}\) の超フィルターとし, それに対応する補完説明の通りの写像 \(h\) をとり, それが \(M\) 内の上限演算をすべて保存しているとする. \(F\) が超フィルターであるので, 先ほど示したように確かにこれは準同型写像である. \(F\) が \(M\) 上 \(\mathcal{B}\)-ジェネリックであることを示せばよい.
\(E \in M\), \(E \subset \mathcal{B}\) なるpredenseな集合 \(E\) を任意にとる. 補題1により, \(\bigvee E = 1 \in F\) であり, \(1 = h(\bigvee E) = \{ h(b) : b \in E \}\) であるので, \(h(c) = 1\) なる \(c \in E\) が存在するので, それを固定する. このとき, \(c \in E \cap F\) である. [A12]の結果により, \(F\) は \(M\) 上 \(\mathcal{B}\)-ジェネリックである.
以上より, [D1]における「〜が, 必要かつ十分であること」が示された.
この解答に不具合を発見した方はぜひご指摘ください.