第VII章 演習問題 [H17]

[補題:] \(X \subseteq T\) の濃度が \(\kappa\) ならば \(X\) は不可算な鎖を持つ.

[証明:] 背理法による. \(X\) に含まれる鎖が全て可算であるものとし, \(X\) の全ての極大鎖を列挙し \(\bigcup_{\alpha < \kappa} C_\alpha (=X)\) とする. このとき任意の \(\gamma < \omega_1\) に対して \(\{C_\alpha(\gamma) : \alpha < \kappa\}\) はその極大性によって反鎖であるが, これによって \(X\) は濃度が \(\kappa\) の反鎖を含んでしまう. というのも, \(cf(\kappa) > \omega_1\) では \[ \exists \gamma < \omega_1 |\{C_\alpha(\gamma) : \alpha < \kappa\}| = \kappa ~~~~~~~~(*) \] が成り立ち, \(cf(\kappa) \le \omega_1\) の場合には \(X = \bigcup_{\gamma < \omega_1} \{C_\alpha(\gamma) : \alpha < \kappa\}\) だからF4によって\((*)\)が成り立たなくても \(X\) は濃度 \(\kappa\) の反鎖を持つ.

本題の証明に移る. \(\mathbb{P}\) 名前 \(\dot{X}\) を \[ p \Vdash \dot{X} \subseteq \check{T} \land |\dot{X}| = \check{\kappa} \] を満たすようなものとする. このとき各 \(q \le p\) について \(Y = \{s \in T : \exists r \le q ~ r \Vdash \check{s} \in \dot{X}\}\) とすると \(|Y| = \kappa\) であり, 補題により \(Y\) は不可算な鎖 \(C\) を含む. このとき \(\mathbb{P}\) の可算鎖条件によって \[ r \Vdash s, t \in X \land s < t \land s > t \] を満たすような \(C\) の要素 \(s, t\) と \(r \le q\) が存在する. 従って \(p\) 以下の稠密性によって \(p \Vdash \exists s, t \in X \land s < t \land s > t\) であるから \(M[G]\) において \(T\) は濃度 \(\kappa\) の反鎖を持たずよってススリン木ではない.

ちなみに先の証明から \(X\) が濃度 \(\kappa\) を持つ \(X\) の部分集合ならば \(X\) は(\(\kappa\) の正則性によらず)濃度が \(\kappa\) より小さい任意の鎖を持つから, \(\mathbb{P}\) は \(\kappa\) より小さい \(\lambda\) についての \(\lambda\)-鎖条件を満たしていればよく, \(\kappa\)-鎖条件を持つ半順序では \(\kappa\) が正則であるときうまく刈り込まれた \(\kappa\)-ススリン木 \(T\) の逆順序によるジェネリック拡大が \(T\) にジェネリックな共終枝を付け加えるから, 「ある \(\lambda < \kappa\) についての \(\lambda\)-鎖条件」という仮定がここでは最良のものである. またヒントでは反鎖についても不可算なものを含むとあるがこれについては \(cf(\kappa) = \omega\) のときに不可算反鎖を持たない \(\kappa\)-ススリン木の具体例が存在する.

この解答は2022年4月に受け取っていたものです. いろいろの事情で公開が遅くなったことをお詫びします. (藤田)

解答者: 徳田 華比斗さん (公開日: 2025年11月26日)

この解答に不具合を発見した方はぜひご指摘ください.

演習問題一覧に戻る