サマーコンサート2000 曲目解説


アダージョ

S. バーバー作曲/ジェニングス編曲

もとは同じ作曲者の「弦楽四重奏曲」の中の緩徐楽章ですが、それを弦楽合奏用に再編したものが「弦楽のためのアダージョ」として親しまれている、この曲となります。今回はそれをさらに吹奏楽に編曲したものを演奏します。本国アメリカ合衆国では、大統領などが亡くなったときに、追悼のためにこの曲がラジオで流される習慣があるようです。

また、映画「プラトーン」ではBGMとして使われるなど、世界的に有名な小品のひとつとなっています。

聖アンソニー変奏曲(改訂版)

W.H. ヒル作曲

この曲は、ブラームスが「ハイドンの主題による変奏曲」と称して作曲したテーマと同じ旋律による、吹奏楽のための変奏曲です。奈良県の天理高校が独自にカットや追加を行って全日本吹奏楽コンクールで歴史的な名演奏を残して以来、現在まで最も人気のあるレパートリーの一つとして定着しています。全体は序奏とテーマ、5つの変奏とコラールから成り立っていますが、最後にコラールがない原典版よりも人気が出てしまったため、これを改訂版として演奏することを作曲者が了承しています。

わたしはこの曲を聴くたび、「同じ時代に生きる作曲者から贈られた、わたしたちへの心のこもったプレゼントだ」と思わずにはいられません。

交響詩「ローマの松」

O. レスピーギ作曲/大久保健二編曲

この曲には、作曲者自身による各楽章の情景を表す文章がついています。

I.ボルケーゼ庭園の松
ボルケーゼ庭園(注1)の松林で子供たちが遊んでいる。丸く輪になって踊り、兵隊さんごっこをして行進したり戦ったりしている。そして夕暮れのツバメのように自分たちの叫び声に興奮して、群れをなして走り去る。不意に情景が変わり・・・・・・
II.カタコンベの傍らの松
カタコンベ(注2)の入り口を囲んでいる松の木陰が見える。その奥底からは、悲嘆にくれた聖歌が聞こえてくる。そして、それは荘重な賛歌のように大気に漂い、また神秘的に消えていく。
III.ジャニコロの丘の松
ざわめきが大気を通ってゆく。ジャニコロ(注3)の松は満月の明るい光の中で、くっきり浮かび上がっている。ナイチンゲールが歌っている。
IV.アッピア街道の松
アッピア街道(注4)の霧深い夜明け。ローマの悲惨な平原を見守る孤独な松。かすかではあるが、おびただしい足音の絶えざるリズム。詩人の空想には、古代の栄光の幻影が現れる。トランペットが高らかに鳴り響き、執政官の軍勢は新たに昇る太陽の輝きの中で、凱旋してカンピドリオの丘(注5)を登ろうと神聖街道を疾走してゆく。

注1) 17世紀にボルケーゼ公によって作られた、森や池、噴水などがある庭園。
注2) 初期キリスト教時代の地下墓所。
注3) ローマの町の南西の丘で、その頂からはローマを一望の下に眺めることができる。
注4) 紀元前312年に、アッピア・クラウディアによって建設された軍用道路。
注5) ユピテル神殿のあった聖地。ローマの将軍は凱旋の際に必ずここに参詣した。

(寺本まり子訳/音楽之友社版管弦楽スコアより引用)
(文:大久保健二)


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