て日々

2012年11月


2012年11月30日(金)くもり

朝、久々に子供らと一緒に出かける。歩きながら【娘】が「クリスマスに欲しいものを言う遊び」などというベタなことを始めたので、

パパ「ええ《おまじない》を教えたげるわ」
【娘】「え? なになに?」
パパ「まず、オムレツに、欲しいプレゼントをケチャップで書くやろ」
【娘】「ふんふん。」
パパ「それを食べたら」
【娘】「食べたら?」
パパ「おいしいねん」

【息子】にはひとつ黒魔術を教えてやることにした

パパ「ええ《おまじない》を教えたげるわ」
【息子】「え? なになに?」
パパ「まず、紙に、欲しいプレゼントを鉛筆で書くやろ」
【息子】「ふんふん。」
パパ「それにマッチで火をつけたらなあ」
【息子】「つけたら?」
パパ「燃えて危ないから、やったらあかんで。」

晩秋の道には落葉がいっぱい。そこで【息子】が反撃してきた

【息子】「僕も《おまじない》を考えた」
パパ「なになに?」
【息子】「まず、道に落ちてる落葉をいっぱい集めて」
パパ「ふんふん。」
【息子】「それに火薬を入れてマッチで火をつけたら」
.........
.........
二人「どっかーん!!」

雲は多いが日中は日光もさして暖かだ。先日の奈良出張の旅費がおりたのでジュンク堂で本を2冊だけ買った。しかしなにせ金がないから、今年はこれで買い納めとせにゃなるまい。

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2012年11月29日(木)あめ

やっと日曜日の奈良観光の日記に写真を追加したよ。

俺としたことが、自分がインストールした 「関西すうがく徒のつどい」の新しいWebサイト に、この「てなさく世界」のどこからもリンクしていなかった。昨晩サイト管理者(のうこ)に「Googleでヒットしないんじゃがのう」と言われてようやく気付いた。Googleの検索にヒットしない理由は、これまでURLをどこにも公開していなかったせいでリンクしているページが少ないということだと思う。読者もぜひ、この上のリンクをたどって新しいサイトを見て下さい。すうがく徒のみなさんには、ご自身のブログで紹介していただけると、俺が喜びます。あと、TwitterとFacebookでも宣伝しとこ。

現在、Google検索で19番目である。すっかり「その他」あつかいだ。これから上がってくれると思うけど。


2012年11月28日(水)くもり

出張の疲れが一日おいて出るのは、中年男のお約束である。学生さんたちには申しわけないことに、セミナー中は眠くて仕方なかった。帰り道、腹は減るし、身体は重い。胸やけもする。ろくな体調ではない。それでも、身体がキツいからといってこのキツさを、気のもちよう、感情にまで反映させる必要はないということに思い至って、できるだけネガティブなことを考えないように心掛けながら家路をたどったことは、きょう特筆すべきことだと思う。ポジティブなハッピーなことを考える材料も、さしあたり全然ないのだが、それとて、ネガティブな感情を沸き立たせる理由にはならない。だいいち、怒ったり泣いたりしたところでお金も友達も増えないのよね。


2012年11月27日(火)くもり

昨晩から【娘】が熱を出して寝込んでいる。学校を休ませて医者で診てもらったら、溶連菌感染症だそうだ。俺も出張明けでバテ気味だが、なんとか講義の準備を万端整えた。きょうは被覆空間への道の持ちあげ定理の証明。できればそのあと道のホモトピーの持ちあげの存在と一意性の証明をしたかったところだけど、時間が尽きた。だが、おかげで来週の内容についてはすでにあらかた見当がついた状態となった。

帰り道、東の空にかかる月と木星がとても綺麗だった。明日はよい天気になりそうだ。


2012年11月26日(月)あめ

朝からけっこうな雨。天気がよかったのは昨日一日だけだった。昨日のメンバーの誰かの日頃の行いがよほどいいらしい。昼食には母を連れてアバンティの銀座ライオンに行く。たまにはメシをおごるくらいの親孝行はしよう。銀座ライオンには、夏に思いがけぬ再会をした西原さんが今日もおられた。俺がアルバイトで世話になってから28年、母が西原さんと会うのは初めてのはずだ。二人が「その節はどうもお世話になりました」と言って挨拶する。ずいぶん古い「その節」である。母の出た高校はいまでも同窓会が盛んのようなので、いっぺん銀座ライオンを会場にしたらどうやと営業トークをする。その後、母とは京都駅で別れ、子供への土産にひこにゃんのTシャツと靴下を買って新幹線に乗る。特急しおかぜで松山についたのが17時半ごろ。


2012年11月25日(日)はれ

数学基礎論若手の会は午前中いっぱいでお開きになる。午後は俺と証蔵さん、のうこ、ひらいずみ、ウスバくん、それにこれまたツイッターでお馴染みのぼんてんぴょん、それからあずささんとちーさんという奈良女子大の二人の美女を加えて奈良観光に出かける。まず近鉄奈良駅に集合して昼食。昼食には縫田さんも参加してくれた。素晴らしい秋晴れの空の下、県庁前の大通りを歩いて東大寺に行き、大仏さまに詣でる。それから鹿と遊びながら手向山八幡宮や二月堂を見て回る。紅葉が綺麗だ。ひとしきり東大寺境内を散策して、三笠の山に出し月かもかもを背に近鉄奈良駅に戻る。ぼんてんぴょんや美女二人とはそこで別れて、JR奈良駅へ。俺と証蔵さんとのうこはさらに京都での小泉ふゅーりーやことりんとのオフ会に行くのだ。これには物理学徒で京大交響楽団長のたかさんも参加。会場は今出川通沿い出町柳近くの「京亀」だ。昭和の民家を改造したらしい店で、白味噌仕立てのもつ鍋を食う。たいへん楽しい、充実した休日になった。しかしまあ、よく歩いたわ。

二月堂では100円で護摩木に願い事を書いて奉納できる。よっぽど、《世界平和》とか《学運興隆》とか《震災復興》とか書いて納めようかと思ったが、やめにした。そういうことは神仏に祈願するものではない。どれも人間の努力次第だからね。神さま仏さまにお願いするとしたら《無病息災》くらいだろう。なんか ユヴェナリスの「健全な肉体に健全な精神が宿るようにお祈りする」 みたいだけど。それとあと《これ以上、大地震なんか起こさんとってください》とか。

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奈良といえば鹿と仏像
楓の下の鹿という花札的構図

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鹿にはまったく悪気がなさそうだ

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この小鹿だけは鹿せんべいにまったく関心を示さなかった。
赤ちゃんだからか、偏屈だからか

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紅葉を見上げる俺
撮影:のう

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語らう俺と牡鹿
撮影:のう

お開きのあとバスで実家へ。奈良で買った柿の葉寿司を父の霊前にお供えする。

縫田さんや ぼんてんぴょんに会えたのが今回一番の収穫だ。縫田さんはいつだったか雑誌に写真が載っていたのでお顔は存じ上げていたが、ぼんてんぴょんは映像としてもまったくの初対面。しかし、ペンギン帽をかぶっていなかったことを別にすれば、だいたいイメージ通りの人だった。


2012年11月24日(土)くもり

朝6時前に梅田に着く。地下鉄で難波へ移動。近鉄に乗り換えて奈良へ向かうのだが、その前に朝飯を食いたい。しかし6時半にもなっていないので、店が開いていない。仕方がないので駅の売店でサンドイッチを買って近鉄の車内で食う。7時過ぎに奈良に到着。朝いちばんのヨリオカくんの講演は9時からだから。いますぐに会場に向かっても迷惑なだけだろう。近鉄奈良駅のカフェでコーヒーを飲む。そうこうするうちに、同じく二日目から参加の ひらいずみ が、近鉄でこちらに向かっているという連絡。それならと、待ち合わせて一緒に行くことにした。

会場の奈良県青少年会館まで、奈良女子大の前を通って、歩いて30分弱。周りはけっこうな高級住宅街である。ヨリオカくんサカイくんウスバくん木原くん、それにキューネンの演習問題で世話になっている縫田さんや田尻くん、ツイッターでお馴染みの山元も来ている。

数学基礎論若手の会には12年ぶりの参加。本当の若手だった頃はしょっちゅう参加したが、さすがに今回は最年長である。このごろツイッターを通じて若い知り合いも増えてきたので、彼らとの交流が今回の目的というわけ。そのうち、のうこも登場。夜にはみなで酒を酌み交わし、いろいろのディスカッションをする。


2012年11月23日(金) 勤労感謝の日くもり

ピアノの発表会。今年の出しものはドビュッシーの『夢』 (Réverie) だ。今回またしても、ペダルの具合を確かめずに弾き始めて失敗。前半はボロボロになった。まあ、後半はなんとか持ちなおした。練習不足はどうしても演奏に出てしまう。なんだか今回は本当に練習に身が入らなかった。ひとつには、こういう儚げな曲に感情移入できにくかったこともある。いろいろの心配ごとのおかげで練習する気になれなかったというのもある。だが、家に帰ったらすぐに酒を飲んで飯を食って寝てしまうことが、たぶん一番いけない。薬を飲むことや仕事に行くことと同じように、ピアノの練習を一日のスケジュールの中にきちんと組み込むべきだ。前にも書いたけど、これからしばらくはツェルニー30番をていねいにさらって基礎練習のメニューを自分なりに構築しようと思う。発表会の出し物を決めるのは、基礎練習が身についてからでいい。

奈良で開かれている「数学基礎論若手の会」に出席するため、梅田ゆきの夜行バスに乗る。


2012年11月22日(木)くもり

昨日に比較するとずいぶん暖い。年末調整の書類を出しに行ったついでに学内のミュージアムカフェでコーヒーを飲み、さらに生協の書店で本を二冊買った。佐々木正悟『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経の文庫)と、玉木大『広がりゆくトポロジーの世界--言語としてのホモトピー論--』(現代数学社)だ。

午後は大学院のプレゼン演習の授業。表組みと画像のとり込みについて、ゆるゆるとやる。次回あたりBeamerクラスの説明に入りたい。

夜遅くなってから、のうことSkypeのメッセンジャーでチャット。奴は勉強のためにTwitterから退いているが元気そうだ。


2012年11月21日(水)くもり

水曜日の午後はゼミの時間。0-1くんのゼミは新キューネン本I.9節の演習問題だが、I.9.47は文字どおりには成立しないようで、定義の修正が必要。次回はそこから再開。910くんのゼミは新井本でストーンの表現定理のあとサブセクション4.5.3の閉非有界集合のところを済ませた。次回はマーティンの公理を扱うサブセクション4.5.4から。それにしても、北向きのゼミ室は寒くていかん。


2012年11月20日(火)くもり

講義は被覆空間の定義と例。盛りだくさんで学生さんたちには大変だったかも。0-1くんが演習問題のことで質問にきて、それが一段落する頃に入れ替わりでK3くんが質問にきた。それがなかなか手ごわい質問で「多様体のこと勉強していて、次元の違うユークリッド空間が同相だったらまずいんじゃないかと思ったんですけど、\(\mathbb{R}^m\) と \(\mathbb{R}^n\) が同相なのは \(m=n\) のときだけで間違いないですか」というものだった。そりゃあ間違いないのだけど、そのことの証明は一筋縄ではない。いろいろの本を調べながら、ホモロジーなどのツールを使ってボルスク=ウラムの定理かなにかを証明して使うか、被覆次元なり帰納的次元なりを定義してその意味で \(\mathbb{R}^n\) が本当に \(n\) 次元であることをきちんと証明するか、どうしても話が大がかりになってしまう。そのような話をして、証明の載っている文献をいくつか示して解答にかえさせてもらう。しかしそのようなところを気にするとはさすが秀才K3くんではある。

翌日追記:このK3くんというのは、前期に0-1くんのゼミにオブザーバーして出席していたT1くんのことだ。ミキ教授のところのゼミ生として整数論を勉強中。来年度には九大の院に進むらしい。

そうかと思うと、海の向こうの国際政治学の先生は、ベル本第6章の「ススリン木を添加する強制法」について、いろいろ細かい質問を送ってきた挙句に「\(P\) がcccだったらどうして \(\omega_1^M=\omega_1^{M[G]}\) なんですか」と言い出した。いや、それは強制法を使う上で基本中の基本の知識だ。現に、彼がいま第6章を読んでいるベル本の第1章にもちゃんと証明つきで書いてあるじゃないか。そのように指摘したら、とうとう「いや本当のところ自分はひどい勘違いをしているのかもしれません。ひょっとして、\(\omega_1^M\) って \(\omega_1\cap M\) のことでしょうか」という返事がきた。それを読んだ俺の頭の中に、いかりや長介が登場して「ダミダコリャ」と言ったのは言うまでもない。返事のメールにはこう書いた。「定義された概念の相対化について十分理解せずに独立性証明を勉強しておられたと知ってかなり失望しています。相対化はすべての独立性証明の核心にあるものです。」それから \(\omega_1^M\) というものの意味あいについて説明して、さらに「貴兄はキューネン本の第VII章を調べたと言われましたが、その前に第I章、第III章、第IV章を読んで理解しておくべきでした。2011年の新版なら第I章と第II章です。このさいベル本を読むことは諦めるように強くおすすめします。数理論理学の素養なしにこれ以上いくら読んでも百害あって一利なしでしょうから。」とまあ、非常に強い調子で説得し、キューネン本でやり直させることにした。まあ俺だって専門外の分野に手を出してひどい勘違いをしていることはあるかもしれないが、そういうことはやはりちゃんと指摘すべきだと思う。

歩数計カウント12,652歩。

(後日追記:2012年11月22日木曜日) 授業のあと、学生さんたちに、髪型に気合いが入ってるときとそうでないときとの違いは何ですか、という質問をもらった。たしかに、前髪が邪魔だなあと思ったときにはジェルでセットしている。男は前髪を垂らすべきではないと俺は普段から思っているから、本当なら常に髪をセットしておくべきだとは思う。だが、根がだらしないので、非常にしばしば、ほったらかしである。まあ、それだけのことだ。そういう質問が出るってことは、怖がられたり嫌われたりはしていないってことに違いない。ありがたいことだ。しかし、できれば数学に関する質問をしてほしかったな。

ブタイヨーブタイヨーブタイヨー

ついでのことに、\(\omega_1^M\) というのがどういうものか、俺がどう説明したかも書き残してしまう。\(M\) というのはなんらかの集合論の標準モデル、すなわち、推移的な集合またはクラスであって構造 \(\langle M,{\in}\rangle\) が集合論の公理をみたすようになっているものを意味するものとしよう。

We define \(\omega_1\) in set theory. Since \(M\) is a model of axioms of set theory, people living in \(M\) know how to define \(\omega_1\) within \(M\). Then the \(M\)-people find a member of \(M\) which satisfies the definition of \(\omega_1\) within \(M\), as if \(M\) were the universe consisting of all sets. This is \((\omega_1)^M\). It may happen to equal to \(\omega_1 \cap M\) but not so in general. Because \(M\) is smaller than \(V\), the true universe, some smaller ordinal might be “uncountable in \(M\).” In such a case \((\omega_1)^M\) is smaller than \(\omega_1 \cap M\) which usually coincides “true \(\omega_1\).”

【訳】わたくしたちは \(\omega_1\) を集合論の中で定義しています.\(M\) は集合論の公理のモデルですから,\(M\) の中に住んでいる人たちは,\(M\) の中で \(\omega_1\) を定義するにはどうすればいいかを分かっています.そこで \(M\) の人たちは,あたかも \(M\) が全集合の宇宙であるかのようにして,\(\omega_1\) の定義を \(M\) においてみたす \(M\) の元を見い出すわけです.それが \(\omega_1^M\) です.そいつは \(\omega_1\cap M\) に等しいこともあるかもしれませんが,一般にそうというわけではありません.\(M\) は真の宇宙 \(V\) より小さいので,小さい順序数が “\(M\) において不可算” になることがありえます.そうした場合,\(\omega_1^M\) は \(\omega_1\cap M\) より小さくなります.一方,後者は通常,真の \(\omega_1\) に一致します.

いや、もちろん最後の一言は間違いだ。口が滑った。\(M\) が可算モデルだったら、\(\omega_1\cap M\) が真の \(\omega_1\) に一致するはずはないからな。その他細かいことを言いだすとキリがないが、そもそも強制法による独立性証明とは反例のモデルの構成なんだから、与えられた構造で論理式を解釈すること(すなわち定義の相対化というもの)をきちんと理解せずに強制法を学ぶなんてのは、スケートリンクで裸足で滑ろうとするようなもんですよ。


2012年11月19日(月)くもり

妻 (@reviverappapyon) とぼんてん (@y_bonten) を相手に、いつものような教育論・権力論をぶってしまったが、これはいくらなんでも釈迦に説法であった。歩数計カウント9,411歩。


2012年11月18日(日)はれ

妻はきょうもアルバイト。【娘】は教会学校のあとお友達の所属する別の教会のバザーに行くというので、【息子】を迎えに行く。堀之内公園を通ってフジグラン松山まで歩いて行った。「どうぶつしょうぎ」なるものを買って、家まで30分ほど歩いて帰る。「どうぶつしょうぎ」とか、このあいだの「図形キューブつみき」もそうだが、【息子】はこのての“考える遊び”が好きなようだ。そのかわり、人間的な交流というものに対する興味が薄く、言語はしばしば発信専用。自分に言われたのでない「聞こえていること」は聴いているくせに、「言われたこと」は聴こえない。かつての自分自身を見るようでやりきれないが、まあこの先どう成長するかゆっくり見せてもらいますわ。

(後日追記:2012年11月22日木曜日) この日は朝のうちに散髪に行ってから【息子】を迎えに教会へいったのだった。前回の散髪は8月31日だったから、81日ぶりの散髪。

歩数計カウント10,132歩。


2012年11月17日(土)あめ

窓の外は冷たそうな雨と風の音。妻子はいろいろと出掛ける用事があったようだが、俺は一日じゅう家にいて、早い話がほとんど寝て過ごした。自分がこんなに寝れるとは思わんかったぞ。

昨日の日記に貼ったキャンパスの写真をみて、日本の風景を決定づけているのは「電線」なのだなあと改めて思う。


2012年11月16日(金)はれ

卒業アルバムに載せるゼミの写真を撮ったあと0-1くんの質問に答える。質問の内容は、ゼミで読んでいるキューネン本2011年版の演習問題に関するもの。整礎で set-like (集合状)な二項関係 \(R\) の定義されたクラス \(A\) に対して \((A,R)\simeq (M,{\in})\) をみたすクラス \(M\) が存在することを示せ、というのがその問題。いわゆるモストフスキの定理は \((A,R)\) がさらに外延性公理のモデルになっているという条件のもとで、そのようなクラス \(M\) を推移的なクラスとしてとることができ、しかもその範囲で \(M\) と同型写像が一意的に定まることを主張するのだが、\(R\) が外延的でなくても同型な \(\in\)-構造が見つかるというのは面白い。もちろんこの場合は \(M\) は推移的ではないし、また一意的に定まるものでもない。

こういう面白い質問に答えるときの俺は、数学的なアイディアに集中していて主観的にはすごく楽しいのだけど、その結果としてけっこうなテンションになるので、学生にとってはちょっと怖いかもしれない。

数学的な内容に関するかぎり、0-1くんはいろいろなことをきちんと読みとり理解できている。ただ、少し思い込みが強いところがあって視野が狭くなりがちだったり難しく考えすぎたりする。そこのところはこれから経験を積んで改善していってもらいたいものだ。今回の質問もそうで、テキストに述べられたヒントに示された式の意味をきちんと読みとっていたので、俺としては、彼が心配していた余計な条件について「それは成立しないし、そもそも必要ないよ」と指摘する必要があっただけだった。

愛大ミューズ前の街路樹
鉄砲町の郵便局に行って部屋へ戻る途中
午後3時ごろのキャンパスの様子
秋空と色づいた木々の対比が綺麗だった

夕方にはピアノのレッスン。発表会本番は来週の金曜日なので、いよいよ直前のレッスンである。何度か「もうちょっとピアノのところをピアノで弾いてください」と注意された。タイトルどおり夢のような儚さを湛えたこの曲ですら、俺はついついガンガン弾いてしまいがちになるので気をつけにゃならんが、微妙なダイナミクスの調整はうちのクラビノーヴァじゃちょっと難しい。はてさて、どうしてものか。

帰宅後、かなり久しぶりに家族で外食。歩数計カウント12,611歩。


2012年11月15日(木)はれ

ワインとチーズとフランスパンを買って帰った。ただし、きょうがボジョレーヌーヴォーの解禁日だからというわけではない。最初は、東北大の村上さんや富山大のしんじけさんと、板書における悪筆の話をツイッターでしていたのだ。たとえば、「完備」の「備」の字の「用」の部分をつい数年前まで「冊」のように書いていたとか、欧文のつづりも怪しいもんで D'Alembert(ダランベール)のことをつい D'Ambert と書いてしまうとか、恥のディスクロージャーをしていたら、しんじけさんが「ダランベールとカマンベールは似ている」と言いだした。そう思うのは日本人だけではないらしい。現にフランス版「Yahoo! 知恵袋」に

D'Alembert aimait-il le camembert ?
(はたしてダランベールはカマンベールを好んだか)

という問いかけがされているのを、しんじけさんが見つけてきたくらいだ。この質問に対して「残念ながらダランベールはカマンベールを知りませんでした。カマンベールが発明されたのはダランベールの死のずっとあとですから」というマジレスを差し置いて、ベストアンサーに輝いているのが

Autant que Diderot aimait le Livarot!
(ディドロがリヴァロを好きなのと同じくらい!)

という回答だ。まあ、質問そのものがダジャレなんだから仕方がない。しかしこのやりとり、なんか日本の

一枚でも「せんべい」とはこれ如何に。
一個でも「まんじう」といふが如し。

ってのを思わせる。それで俺は「カマンベールを買うためにダランベールがレジに並んでーる」ところなどを想像して、チーズを肴にワインを飲みたくなったというわけ。それで帰りにスーパーに寄ったら、たしかにボジョレーヌーヴォーがいっぱい並んでいる。ただし、貧乏な俺たちは、たとえ明日が給料日だとはいえ贅沢はできないので、国産のいちばん安い赤ワイン(フルボトルで348円)と国産のカマンベールチーズ(248円)と、地元のタカキベーカリーのフランスパンの半額になったやつ、それに子供向けにぶどうのドリンクを買って、レジ袋辞退して、合計792円。なにしろ、フランスに住んでるフランス人はこういうときまず間違いなく自国産のワインとチーズを選ぶはず。それに倣えば、日本に住んでる日本人の俺たちだって国産品を選ぶのが正しい。ワインもチーズもそれなりにうまかったので満足。

なんのことかわからん? はいはい。ディドロとダランベールについては高校の世界史か倫理の教科書でも見てください。カマンベールはスーパーマーケットのチーズの売り場に並んでいると思います。悪筆とか欧文のつづりがわからんとかでもうちょっと言うと、板書で「単連結」と書こうとするたびに「単結」と書きそうになるし、「マリー・アントワネット」の「アントワネット」は Entoinnette かと思っていた。正解は Antoinette だとか。

歩数計カウント9,666歩。


2012年11月14日(水)くもり

いやあ寒い寒い。ゼミの前に0-1くんが「ゼミに半纏着ていきたい」なんてツイートしているもんだから思わず「許可。」とリプしてしまったよ。きょうばかりはセミナー室に畳敷いて「こたつセミナー」にしたかったね。うちのゼミは今期は指導教員オブザーバー全員込みで3人なのだから、こたつに入って紙を広げて議論するくらいがちょうどいい。

で、前半の0-1くんのゼミは主に§I.9の演習問題。後半の910くんのゼミは新井本第4章のブール代数のところで、「素イデアル」と「超フィルター」と「2元ブール代数への準同型写像」がお互いに同等な概念であることをていねいに検証。そこからストーン空間の話に進む予定だが、910くんは予期したとおり位相空間論の基礎知識が足りなくて困っているようだったので、そこの議論は来週に回すことにして、参考までにと松坂和夫『集合・位相入門』、コッペルベルク・渕野『現代のブール代数』を貸し出した。

カードの塔

帰宅すると【息子】がトランプのカードで塔を作っていた。けっこう根気のいる作業なのに、ふだんダラダラしている【息子】が、こういうことにばかりは集中してとりくむから面白い。写真を何枚も撮って誉めてやった。【息子】はこの成功に気をよくしたか、夕食後にもう一度やりだしたが、首尾よく成功した一回目の事例を性急に再現しようとするものだから、ぜんぜんうまくいかない。ひととおり失敗を繰り返した頃あいに、お姉ちゃんとパパが「つぎはゲームしよう」と介入し、神経衰弱・ババ抜き・七ならべをして、【息子】は機嫌を直したのだった。

あと、結婚した時にお祝いに頂いた炊飯器が、このところ不具合だらけになって飯炊きに支障が出てきたので、新しい炊飯器に買い替えた。専門学校での朝の講義を終えた妻がフジグラン松山にいくと、ちょうどオープン20周年記念日のセール中。型落ち炊飯ジャーが67パーセント引き15,000円弱のうえ、10パーセントがポイント還元されて1,500円ぶんの商品券をもらってきたとか。まことにけっこう。夕食のご飯を炊く前に、子供らの前でお披露目して、みんなで「大事に使います宣言」をしたのだった。

歩数計カウント11,490歩。


2012年11月13日(火)くもりあめ

午後から天気は荒れ模様。雨はまあ普通だが風と雷がすごい。

位相の講義では、次の定理の証明をした:

【定理】位相空間 \(X\) が二つの開集合 \(U\) と \(V\) によって \(X=U\cup V\) と被覆されていて,\(U\) と \(V\) がそれぞれ単連結,\(U\cap V\) が道連結(=弧状連結)だったとすれば,\(X\) は単連結である.

この定理から球面 \(S^2\) が単連結であることを示すのは簡単だ.で,先に10分ほどその話をしてから,定理自身の証明に残りの時間を費した.列車が二つの国の間を行ったり来たりするのを一駅ずつ追いかけていくような証明なので,しゃべっているうちに,ヨーロッパの鉄道旅行なんて洒落たものに出かけたくなる.次回からは被覆空間というちょっと大がかりな装置が登場する.これもわかれば面白いはずだから,うまく説明できるようによく準備しよう.

やる気のないあひる

結城浩さんの定評あるテキスト『Java言語プログラミングレッスン』の第3版が近々刊行予定で、結城さんがプレゼントキャンペーンをやっている。1998年〜1999年ごろに、俺もちょっとだけJavaを勉強したことがあるけど、堪え性のない俺のこと、いつものとおり結局ものにならなかった。その後、RubyやActionScriptをちょっとかじってみたり、Windows PCにVisualStudioを入れてみたこともあるが、どれもあまり使っていない。だいたいにおいて俺がプログラミング言語に手を出すのは「コンピュータを思いどおりに操っている気分」を味わいたいというだけの理由である。仕事で使うアプリケーションにはそれほど不自由しておらず、自分でプログラムを組んでやってみたいことも、いまのところ思いつかない。

それでも、今回性懲りもなく結城さんのJava本のキャンペーンに俺も応募することにした。結城さんの書いた本なら、きっとすごくわかりやすいに違いない。だから、こんな俺でも、もう一度コンピュータを使いこなしてやるぜ、という意欲をとり戻せるかもしれない。

そんなわけで応募することにした。でも、俺なんかよりもこの本を貰うに価する人がたくさんいるだろうから、俺なんぞが当選しなくてもかまわない。むしろ、あなたたちも 結城さんのブログのここ を読んで応募しなさい。(〆切明日だけど)


2012年11月12日(月)くもり

明日の授業の準備をせねばならんが、なかなかやる気が起きない。内容的にはけっこう面白いところなのだけどね。

(翌日追記) その後もやっぱりやる気が出なくて、すっかりダメ人間になった気分で、消沈した気分で帰宅した。帰宅したら、まずお風呂に入ったら、と妻が薦めてくれた。それで風呂で身体を温めたら、気持ちも少し暖くなった。そのあと夕食に妻の手料理を食べて、授業の準備は少しだけ進んだ。そんなわけで、また妻に助けられた。いつもありがとう。

やる気の出ないまま「て日々」のバックナンバーを読んでいると、けっこう誤字があることに気づく。Web上のデータに誤字を見つけ、それをすぐに修正できない場合に、「ここ、あとで直しとこう」というのを、どうやって覚えておけばいいだろう。紙に書いたものなら赤ペンでチェックしたり、付箋を貼ったりできるし、それができなくても、「○○ページ××行目の «馬鹿» は «河馬» の間違い」とメモすることはできる。ところが、Web上のデータにはページの概念も行の概念も存在しないし、まさかモニタ画面に赤マルを描くわけにもいかない。たとえば、スクリーンショットをとり必要な場所に目印をつけてURLや日付などのデータとともに記録しておける方法を、Webブラウザに組込めないだろうか。

Code NotesというSafari機能拡張を使ってみた。高機能なようだが、メールで送信したスクリーンショットには、ページの先頭部分だけしか撮れていない。これは残念だ。もちろん、代わりにMacOSやiOSに組み込みの画面キャプチャを使えばいいのだけど。うーん。


2012年11月11日(日)あめくもり

子供たちを学生祭に連れていった。【娘】と【息子】、それと【娘】の友人ユーリちゃん。まずは「科学体験フェスティバル」に行く。理工学研究科(工学部・理学部)と四国電力が共同で毎年開催している、子供に科学の面白さを気軽に体験してもらうためのイベントだ。模型飛行機づくりとか、ロボットの運転とか、シャボン玉遊びとか。

ひとしきり楽しんだあと、学祭の模擬店を見てまわるが、あいにくの雨である。さっき作った模型飛行機を持ち、傘をさしていれば、あとちょっと食べ物を買っただけで手いっぱいになる。しかも、腰をおろして休むところもない。これではどうしようもないので、あまり気はすすまないが、子供らを研究室に連れていった。模擬店の焼きそばやら、「えみか」で買ったサンドイッチやらで昼食をとらせる。

そうこうするうちに雨が止んだので、もう一度学祭会場へ。今度は教育学部系のサークルの展示を見る。邦楽部の生演奏を聴いて楽器を触らせてもらったり、演劇部のダーツ屋さんで遊んだり。そうこうするうちに、研修のスタッフの仕事を終えてやってきた妻と合流。子供たちは落研の寄席を楽しみ、俺はひと休み。たくさんの若い人たちに囲まれているだけで緊張するのに、そのうえ子供を連れ歩いて気苦労が絶えないし、財布が寒いので自分はろくにものを食っていない。そんなこんなで、けっこうくたびれた。もっとも、疲れたのは子供たちだって同じのようで、【娘】も【息子】も、帰りの車のなかでぐっすりだった。

子供たちは、工学部と教育学部で、それぞれお兄さんお姉さんたちに遊んでもらったわけだけど、子供へのサービスのしかたが両学部で対照的なのが面白かった。工学部のイベントでは「すごいもの」を使って遊んだり「かっこいいもの」を作ったりする。人と人の間に「もの」が介在するが、教育学部のイベントでは「お兄さんお姉さんと遊ぼう」がベースで、「もの」のこちら側に人と人が一緒に立つ。まあ子供にしてみれば、面白いゲームしてお菓子もらって楽しかったから、どっちでも同じなのかもしれんけどね。

夜はSkypeのチャットで、来年3月に京大で開かれる「第3回関西すうがく徒のつどい」の、初めての運営会議。


2012年11月10日(土)くもり

午後、理学部の公開講座の世話役として出動する。子供たちは昼食後に児童館へ出かけていった。妻は朝からNPO主催の研修のスタッフとして出動している。

で、公開講座だ。ちゃんと宣伝ができていなかったのでお客さんが全然こないのではないかと怖れていたが、いざ始まってみると20人を超える人に来聴してもらえた。って、半分くらいは数学科の学部生だったけど、卒業生や他学部の学生さん、普通の会社員さんなどもいて、さほどキャパのない会場では空席がないほどだった。主催者としては、まずはひと安心。今回の講師はわが数学教室が擁する気鋭の応用数学者、松浦真也准教授で、タイトルは「北欧デザインの数理」。家具や建築のデザインという身近なテーマと「スーパー楕円」「スーパーフォーミュラ」の幾何という数学のテーマを結びつけて明快に語る。話の運びが上手だ。こりゃ松浦さんのゼミが学生に大人気なのもよくわかる。

スーパー楕円の式を示しながら
講演する松浦准教授

この公開講座、数学科のスタッフで定例化しようと相談しているんだけど、一回目の松浦さんがとても上手にやってくれたので、なんだかハードルが上ってしまった。次の人は大変だぞ。


2012年11月9日(金)くもり

ロゴを変えた。これは色鉛筆で手描きしてスキャンしたもの。サイズと色はスキャン後にちょっと調整したけど。

仕事を終えてピアノのレッスンに出掛けようとしたら、電停の手前でiPhoneを研究室に置き忘れたことに気付いた。けっこうレッスンの時間ぎりぎりだったので、取りに戻って電車に乗り損ねたら遅刻である。しゃあないからiPhoneを持たずにレッスンに行った。iPhoneを忘れた代わりに、なぜか必要のないベル本をバッグに入れていた。出てくる直前まで例の韓国の旦那に送る文書を書いていたので、そのせいだ。結局電停から研究室には戻らなかったけれども、電車がなかなか来なかった。けっきょく戻っても間にあったかもしれないが、レッスンには遅刻するし、気持はワサワサして音楽どころじゃないし、どうもろくなもんじゃなかった。いやはや、レッスンの時間ぎりぎりまで仕事をするもんじゃないね。

で、まあ、レッスン後に研究室までiPhoneをとりに戻る。今度はもう急ぐ理由もないし、電車賃がもったいないから歩きである。それなりに華やいだ金曜の夜の街の雰囲気を味わうのは、ちょっと悪くない。ただし、電車賃をケチるために歩いているくらいだから、寄り道はできない。研究室に戻ったら、七月に法隆寺で買ってからずっと身につけていたお守りの数珠が、作業テーブルの上にあった。実は先日からどこに行ったかわからなくなっていたのだが、パソコンの置き場所を変える作業のときに外して、そのまま忘れていたようだ。まあ、これが見つかっただけでも、歩いて戻ってきてよかった。ひと休みして少し落ち着いたら、また歩いて家に帰ることにしよう。


2012年11月8日(木)くもり

サイ先生の本 (Sy D.Friedman, “Fine Structure and Class Forcing,” de Gruyter Series in Logic and Its Applications, Volume 3, (Walter de Gruyter, Berlin, New York, 2000)) のノート作りを再開する。補題1.7の証明を理解するのはあきらめ、なんとなく自信がなかった \(\Sigma_n\)初等部分モデルというものについてデブリンの本を参照して勉強しなおした。それから補題1.6からノートにとりはじめる。その状態で\(\Sigma^*\)論理式の定義と補題1.8の証明を読み直すと、ちゃんとわかる。よかった。これで続きが読んだり書いたりできるぞ。と喜んだのも束の間、次の補題1.9がまたとんでもなく難しい。

これは俺の頭が悪いからばかりではなく、サイ先生の本の書き方にも問題はある。なにしろ、この補題で論じられている \(\Sigma^*_{n{+}1}\)初等部分モデルや \(\Sigma^*_{n{+}1}\)スコーレム関数についてのちゃんとした定義が、どこにも書いてないのだ。いきおい、こちらは \(\Sigma_{n{+}1}\)初等部分構造などについての従来の理解をもとに類推しつつ読み進むことになる。だが、\(\Sigma^*\)階層の論理式の定義の複雑さを思えば、これではまったく、暗闇での手探りとなってしまう。\(\Sigma^*\)アプローチという方法はもともとジェンセンの発案によるものだが、ウェルチさんのハンドブック論説 (Philip D.Welch, “\(\Sigma^*\) Fine Structure,” in «Handbook of Set Theory» (Springer, 2010), pp.657-736) を見ればわかるとおり、このサイ本での\(\Sigma^*\)階層の定式化は、ジェンセンのものと同じではない。ということは、この本の筋道でこのテーマについて書いている本や文献は存在しないと思わなければならない。活字になっているものを探す限り、「\(\Sigma^*_{n{+}1}\)初等部分モデルについてのちゃんとした定義」なんてものは、世界中のどこにも存在しないのだ。

類書というものがこの世に存在しない以上、著者を恨んでも仕方がない。別の道がないのだから、あきらめたらそれっきりオシマイだ。自分なりに定義を考え、その定義に従って証明の読解を試みる。証明の話の運びがものすごく高密度に凝縮されている中に、意外なミスリーディングな説明が挿入されていたりして幻惑される。その説明のとおりに考えてうまくいくという理由がわからないし、そのようにせにゃならん理由もわからない。だから、証明の最終目的を果たすために、その説明は無視する、というか、それについて考えるのは後回しにする。そんなこともせにゃならん。結局日付けが替わるころまでいろいろ考えて、どうにか証明の粗筋を理解した。

まあ、こうして七転八倒したのも、無駄ではなかったのだろう。というのも、次の補題1.10が成立することが、補題1.9の証明を読み解く過程で、自力で理解できたから。ノートの清書は明日にして、妻の買ってきた缶チューハイを飲んで寝てしまう。


2012年11月7日(水)くもり

集合論を勉強しはじめたという韓国の国際政治学の先生のこと。(参考:2012年8月16日2012年8月20日2012年10月29日。) ススリン仮説の無矛盾性証明を理解したいらしく、ベル本や、時々はレヴィの “Basic Set Theory” の不明な点について、質問をちょいちょい投げてくる。ちゃんと考えた上での質問ならこちらもちゃんと考えた上で回答をするけど、きょうはとうとう「ベル本の演習問題4.34がまるでわかりません。どうすればいいでしょうか。解説してもらえないでしょうか」というニュアンスのメールが来てしまった。しかしこうなると、もう質問とは言えない。今度ばかりは「代わりに解いてあげるのは、(めんどくさいだけで)難しいことじゃないですけど、あなたの勉強でしょう?」と苦言を呈したのだった。もちろんそれだけではなく、もう少し前向きに、「いまの専門家に言わせると、キューネン本1980年版での反復強制法の扱いは古臭いとのことですので、2011年版を読んではどうですか」とか、「イェックの薄い本 Multiple Forcing は入手が難しいかもしれないけど、手際よくまとめてあるから概略を知るにはいいかもしれませんよ」とかのアドバイスもした。そのうえで、「しかしなんでベル本なんですか?」と、こちらから質問し返したら、「その後の発展を知るためにも、基本になるブール値モデルの方法を知ったほうがいいかと思いまして。レヴィを通読したあと、イェック Set Theory の第3版やデブリン本に手を出しましたが、歯が立ちませんでした。」という返事がきた。いきなりデブリン本を独学じゃあ、そりゃあ挫折しますわ。それに、強制法の基礎としてブール値モデルの方法から入るのは、もちろんマスターすれば同じことなのだけど、あまりお勧めできない。キューネンの新版に乗り換えるようにアドバイスしようかと思う。

いやそれにしても、不案内の分野の独習は、つくづく難しいものだと思う。とくに集合論は興味をもつ人は少なからずいるが、お勧めできる情報源が多くないのだ。


2012年11月6日(火)くもり

トポロジーの授業。球面の単連結性の証明に先立って、閉区間の開被覆のルベーグ数というものを定義し、その存在証明をする。準備した内容をだいたい予定通りこなしたが、思うように伝えられたかどうかは、やっぱりわからない。何度やっても、教えるというのは難しいことだ。

夜は市民コンサートの機関誌作業。


2012年11月5日(月)あめ

(2012年11月9日金曜日に記入)はて、どんな日だったっけ。日記をサボると、どうもよくないね。

午後は自分の研究室で翌日の授業の準備をしていた。そのおかげで、直観的にアキラカだと思っていた球面の単連結性が、実はそれほどアキラカでないと思えるようになった。球面上のループが通らない点が一つでもあれば、その1点を球面から取り去れば残りは平面と同相で、話は平面の単連結性に帰着する。「球面の単連結性は直観的にアキラカ」という場合、たいていは球面上でぐるっと一周するループをイメージしていることだろう。その場合はたしかに簡単だ。しかし、いわゆるペアノ曲線を少しアレンジすれば、閉区間から球面の上への連続写像が存在することが示せるから、球面上のループは、一般には球面上のすべての点を通過する(かもしれぬ)とせねばならない。幅がゼロの理想的な線が球面を完全に埋め尽すんだから、麻糸をぐるぐる巻いて作った野球のボールよりも、もっと緻密なぐるぐる巻きである。そんなものが本当に、連続的に一点に縮小させられるのだろうか。たしかに、これは証明が必要なことだ。


2012年11月4日(日)はれ

きょうは特になにもせず、二階で本の虫干しなんかしながら、のんびりと過ごす。けさは【娘】が朝食のハムエッグを作ってくれた。昼食はスパゲティ。夕食はサバの煮つけ。金曜日から三日間、休みを満喫したので、明日からまた張り切ってがんばろうと思う。

フジッリのミートグラタンの図
昼食に使ったレトルトのミートソースが少し余ったので、
フジッリを茹で、チーズを入れてミートグラタンにして
おやつに食ったら、なかなかうまかった。

USBメモリディスクをMacBook Proに挿したまま、ダイニングの積みあがった書類の上に放置していたら、知らぬ間にMacBook Proが滑り落ち、USBメモリディスクがぐんにゃりと折れ曲がっていた。これには慌てた。なにしろ、このUSBメモリディスクにはこの「てなさく世界」の原稿データが入っているから、下手すりゃあ「てなさく世界最期の日」である。メモリディスクのケースを外して基板を剥き出しにし「ぐんにゃり」を手でまっすぐ曲げ戻してからMacBook Proに挿入したら、幸いなことにデータを読み出すことはできた。MacBook Proのハードディスクにバックアップをとって「てなさく世界最期の日」は回避された。(というか、冷静に考えたら、ローカルなデータが破損したらサーバに公開しているデータを改めてダウンロードして来りゃあいいわけで、サーバが十全に稼動しているうちはあまり心配することはない。ただ、今後もこまめなバックアップは必要だ。)しかし一度物理的に破損してしまったUSBメモリディスクにこの先も大事なデータを入れて使うというわけにもいかない。さて、このお金のない時期に代替品をどこから調達したものか。

それよりなにより、長期的にみれば、何をするにもこのダイニングテーブルしか作業スペースがないという現状を改善しないといけない。食事をするのもダイニングテーブル、子供が宿題をするのもダイニングテーブル、ノートパソコンを使うのもダイニングテーブル。いや、そのこと自体はさして悪いことではないな。よくないのは「そろそろ食事の時間だから、作業中のパソコンをちょっと横へ置いて」なんていうときの予備のスペースがないということのほうだ。とにかく家がなかなか片付かない。妻は仕事に臨むにあたって俺なんかよりよほど沢山の資料を駆使するわりに、整理整頓ということがとんとできない。おかげでいろいろの書類が常にダイニングに散乱している。それでも親としては、子供たちに「おかたづけしなさい」と、これはまあ立場上どうしても言わなければならないが、これでは、子供にもおかたづけというものがどういうものかわからない。このあたりのことを、ゆるゆるとでも改善していこう。


2012年11月3日(土) 文化の日はれ

午前中、毎年恒例の幼稚園と教会のバザーに行く。【息子】が生まれた歳(【娘】3歳)のときはほとんど参加できず、その後、【娘】が4歳のときから【息子】が一年生になった昨年までの7年間は裏方のお手伝いでいろいろ協力した。妻にしてみれば、今年は初めて全面的にお客さんとして見に行ったことになる。

もっとも、俺はバザーのお客さんで行ったというより、妻子と合流するために行ったというほうが正確だ。では午前中に俺は何をしていたかというと、花園町の マツヤマ楽器 に行ってツェルニー三十番の楽譜を買い、千舟町のヤマハ の2階を物色し、ジュンク堂へ妻が頼んだ本を取りに行っていた。ヤマハで楽譜や音楽関係の本をいろいろ見たおかげで、音楽熱が再燃しそうである。だがそう思うと、ヤマハ1階にあった音楽用PCソフトウェアの売り場が消滅していたのはなんとも残念だ。

それから、妻の運転でドライブ。石井のセブンスターで弁当を買い、松山自動車道の石鎚サービスエリアに隣接する「ハイウェイオアシス」の庭で食べる。見晴しがよくていい気分だった。目的地は新居浜の科博(→愛媛県総合科学博物館)へ。企画展「錯視のふしぎ」を観るためだ。あの 北岡明佳 さんの「蛇の回転」をはじめ、エッシャーの無限階段、ペンローズの三角形などなど、さまざまな錯視図形が展示されていた。ルビンの壺の「実物」を作った人がいるというのにも驚いた。【息子】が面白がって、なかなか出てこなかった。俺にとっても、なかなか楽しかった。が、さすがに目が疲れた。

帰りは国道11号線を通る。高速が開通したおかげでこの国道もずいぶん交通量が減っている。途中、【娘】の工作の材料を求めて フジグラン重信 に立ち寄る。夕食は久米の スーパー日東 で買った食材で鳥鍋。文化の日らしいというかなんというか、なかなか充実した休日だった。


2012年11月2日(金)くもり

先日の休日出勤の代休日。古川の 源八 なる料理屋で昼飯を食い、国道33号線のヤマダ電機に行った。妻が iPad mini を触りたがっていたから。発売日の今日、松山の家電量販店に実機があるとは、さほど期待していなかったが、見れてよかった。たしかに妻にはこれくらいのサイズが扱いやすいだろう。でも俺はやっぱり普通サイズのiPadがいいな。って、昨日も書いたとおり、当分はどっちも買えないんだってば。それにしても、この10年ほどの間のCDプレーヤーというものの扱いの変わりようには驚いたね。ほとんど売ってないんだもんなあ。

それから、朝井田のトイザラスに行って こんなもの を買った。 少々値が張ったが、このあいだの日曜日 に書いた【息子】の「ぷよぷよの連鎖のシミュレーションの素材問題」を、これで解決。これだけでは【娘】がヤキモチを焼くかと思って、夕方には【娘】を近所の書店に連れていって ちゃお 12月号を買ってやり、駅前で【娘】と分かれて、電車でピアノのレッスンに行く。仕事の休日ではあったが親には代休はない。

後日追記:上で「こんなもの」と買いた、くもんの「ずけいキューブつみき」のページのリンク先URLがどうやら正しくなかったようなので修正した。(2012年11月4日)/それでひと安心と思っていたら商品のマイナーチェンジでURLが変更されていたので再修正した。厄介じゃなあ。(2012年11月17日)


2012年11月1日(木)くもり

一週間ほど前から、iPhone 4Sのタッチパネルがマトモに反応しなくなった。いや、反応しなくなったのではない。指を近付けただけで反応するくらい過剰反応になって、おかげでマトモに操作できなくなったのだ。デスクトップのアイコンが勝手に反応して思ったのと違うアプリが起動するとか、勝手に文字がどんどん入力されていくとか。最初は何が起ったのかわからなくて発狂しそうになった。静電気のせいかと思って左手でスチールのデスクを触りながら右手で操作してみたり、指先に唾をつけて操作してみたり、数日はいろいろ試して騙し騙し使ったが、昨日あたりからどうにも症状が悪化したので、うちの近所のauショップへ昨晩ちょっと相談に行ってみた。そうしたら、iPhoneの不具合に関してはauショップでは対応できないので、小栗のエレクトリックパーツ松山に行ってくれということであった。

で、今日の午前中に行ってみた。アップルとソニーの製品専門の店で、アップルストアのない愛媛県では、ここがアップル製品の修理受付窓口になっている。iPhoneを見せて相談すると、これはさすがに本体の故障だろうということになって、新品と交換してもらえた。延長保証に入っていて助かった。家電量販店のようなうるさいムードでなくて、落ち着いた店内の雰囲気にも好感が持てるし、スタッフの対応も丁寧だった。

一緒に行った妻はソニーの Xperia type SタブレットReader に興味津々のようだった。俺としては、キーボード一体型タブレットPCでノートパソコンとしても使える VAIO Duo 11 が魅力的だと思ったし、なにより、そろそろiPadをカメラつきでRetinaディスプレーのやつに買い替えたいところ。でも、いまはそんな経済的余裕はどこにもない。

夕方からいつもの医者に行ってバカにつける薬をもらう。それから歩いて帰宅して、歩数計カウント13,847歩。

(翌日追記)この日は朝のうち小学校に行って、くすのきしげのり『ええところ』の読み聞かせを、今度こそ【息子】のクラスでやったのだった。(参考:7月6日の日記10月4日の日記。)それを日記に書いてないと妻に苦情を言われた。前にもそういうことがあったけど、日記ってそういうものなのか?