て日々

2018年1月


2018年1月31日(水)くもり

朝、銀天街のドトールでコーヒーを飲みながら少し勉強する。いつだったかのいい声の店員さんがいたが、しかしどういうわけか、きょうはあまり声が聴けなかった。ちょっと残念である。

午後は卒業研究ゼミ生の枝eくんが卒業研究発表会の相談に来る。単項述語記号のみをもつ述語論理の式の充足可能性をタブローの方法で調べるという発表をしてもらうのだが、戸田山和久『論理学をつくる』(名古屋大学出版会)にあった、ルイス・キャロルによる例題をデモに用いる。出典をプロジェクト・グーテンベルクで探してみたら、“Symbolic Logic” という本の第VIII巻第I章第9節の問題60だった。枝eくんは来週月曜日のゼミに来れないので、明後日に前倒しで発表の練習をしてもらう。

それと、理学部設置50年記念誌に載せる教員の写真というものを撮ってもらう。そのために、ちゃんとヒゲを剃り、久々に黒いジャケットを着てきた。まあ、ヒゲなんか本来は毎日めんどくさがらずに剃るべきなのである。ジャケットだって普段から着ていていいんだぞ。俺はなんというか、いろいろなコンディションを普段から整えておくとか、できる範囲で普段から最善を尽くすとか、そういうことをサボりすぎでいけない。ことさらに集中的にエネルギーを注がねばならぬ対象があるというわけでもないのだから、普通にやったら普通にできることは、めんどくさがらずに普通にやるべきだ。普段からそうしていたほうが、きっと、いざというときにも力が出る。

昨年11月30日の日記で紹介した patoさんの旅行記の待望の後編《四国の全駅制覇とお遍路を同時にやったら大変なことになった【愛媛・香川編】》が出た。読んでみると、長いわりにちょっと記述が駆け足なのが少しだけ物足りない。それでも大詰めのあたりはなかなか感動的である。みなさんもどうぞ。

帰り道にブックオフに寄って『ストーン・オーシャン』を立ち読みしていたらすっかり遅くなって、月蝕で陰りはじめた月を背に帰宅。歩数計カウント12,122歩。


2018年1月30日(火)くもり

朝、いつもの革の手袋が見当らない。手袋をせずに古町の駅から大学へ歩いてみると、思いのほか空気が冷たい。それで、平和通りのダイキに寄ってニットの手袋を買った。けっこう暖かく、それなりにおしゃれで、価格は800円弱と手頃。まことに結構なのだが、どうやら婦人ものだったらしく、かなり小さい。きょう一日をしのいだら、これは妻に譲ることにする。

黒基調の柄物ニット手袋。

あとで妻が言うには、いつもの革の手袋は妻の車の中に俺が置き忘れているのではないかとのこと。

午後には大学院の講義。昨晩の思惑どおり講義ノートに4マス追加し、全部で12マス書いた。群の自由積と融合積の圏論的な特徴づけ。融合積の元にかんする正規形定理。語の問題が判定アルゴリズムをもたない有限生成群の作りかた。再帰的表示群とヒグマンの定理。時間内で取捨選択しつつ喋ってみると、再帰的表示群のことを喋る時間がなく、ヒグマンの定理が述べられない。喋った内容を講義ノートでみれば、きっちり8マス分。いつもと同じである。これが自分の喋りのペースというわけだ。たくさん準備したところで、それより多くは喋れないし、少なくすると時間が余る。そうとわかればもう欲張るのをやめて、毎回A4用紙の4分割×8マスに収まるように内容を整理して授業を計画するほかない。今日の授業にしても、後知恵で振り返れば、前半をもっとスリムにすることは不可能ではなかったはず。十分な時間の余裕を持たずに準備するから、急いでいるようでかえってムダが多くなる。

夕方、県立図書館に行く。本当なら返却期限である日曜日に行くべきだったのだが、借りた本を研究室に置いていて、金曜日に持ち帰るのを忙しさにかまけてサボってしまったせいで返却が今日になった。ごめんなさい。また5冊借りてきたが、読めなければ恥ずかしいだけなので、どんな本を借りたか、今は言わない。やはりそういうことは読んだ後で言うべきだ。

図書館から、散歩を兼ねてまた古町駅まで歩いて、そこから電車に乗って家に帰った。歩数計カウント13,123歩。


2018年1月29日(月)くもり

メールの読み書きをしたり明日の授業の準備をしたり出張の足と宿の手配をしたりしているうちにお昼になった。弁当を食いながら新年度の授業のシラバスを考える。学部の授業に関しては毎年だいたいやることは同じなので、今年度のシラバスに最小限度の変更を加えて使う。大学院の特論は、自分の勉強のためにも、いくらかでも違ったことをやりたい。今年の場合は、春に某所で連続体仮説の独立性のレクチャーをやることが決まっているので、第3クォーターの特論でも集合論をやるのがよいだろう。それで、弁当を食うのを中断してシラバスを書いていたら、卒業研究ゼミの時間が来てしまった。

きょうのゼミは第3時限から第5時限まで使い、4人それぞれに発表会の題材を大まかにでも決めてしまう。来週の月曜日がアブストラクトの〆切なのでぎりぎりのタイミングだ。それで、来週と再来週の2週間で発表練習をしながら内容を煮詰める。12時40分から17時50分までゼミの時間をとる。合間の休憩時間も俺には休憩でなくて、書きかけのシラバスを完成させ、木曜日に先日の休日出勤の代休をとることを学科長に知らせに行き、先週火曜日に監督を代行した線形代数の答案をD教授に渡してテストの実施状況を事後報告し、学部2年生の授業のシラバスを共同担当者の山下さんに見せて意見を聞く。

そんなふうにバタバタしているうちに夕方になり、ゼミが済んだので、片付けてピアノのレッスンに行く。2月下旬の出番に向けていよいよ音楽を作っていかねばならない。これまた〆切が近い。レッスン後は例によって市駅前ドトールコーヒーで講義ノートの下書き。帰宅して夕食後、いつもどおりA4用紙4分割を1マスとして講義ノートを清書する。8マス書いた。スペースを使ったわりに多くのことは言えなかったし、授業の残り回数のことを思っても、もう少し進んでおきたいと思ったが、ともあれ続きは明日にして就寝。


2018年1月28日(日)くもり

午前中、小雨の中を、昨日行けなかった近所の温泉に行った。昼食後は長々と昼寝。いやあよくサボった。雨は午後には止んだ。

妻はきょう、何やら研修のスタッフとしてがんばってきたらしい。 NHKが取材に来ていて、テレビのローカルニュースに取り上げられた。研修のテーマの深刻さを思えば、テレビ局側の受講者の表情も撮りたいという要請に対しては慎重になって当然で、それなのに、会合が始まったらすぐにカメラがなんだか無遠慮に会場に入っていったので、けっこうハラハラしたと妻は言う。まあ、顔出しの承諾の取れなかった人の映像はニュースでは使われていないはずだけど。


2018年1月27日(土)はれ

どうにか昨晩のうちに再校ゲラの校正が済んで、きょうは索引語をピックアップする作業。これに丸一日かかった。このところ毎週土曜日に近所の温泉に行ってたけど、今日ばかりはこれも明日に延期。食事の仕度も妻に任せてしまった。夜の11時ごろにようやく作業が済んで、深夜のコンビニで版元へ向けて発送。それから編集のSATOさんにメールする。

これを読んでる人も混乱していたかもしれない。ここしばらく、某学会誌の書評の原稿と、某商業誌の連載の原稿と、近著のゲラ、この3つの〆切が相次いでやってくる状態で、そのうえ大学院の講義も自転車操業、卒業研究の指導もいろいろ遅れぎみ、ピアノの出番も近いという、なんとも苦しい状態が続いていた。どうにか出口が見えてきたと思ったら、「強制法入門」の講義資料を作るという次のタスクをすでに自分に課していたのだった。それでもまあ、ひと山越えた感はある。


2018年1月26日(金)くもり

午後は大学院の講義。このところずっと自由積がどうたら融合積がこうたら言って準備しているのだが、実際の講義ではなかなかその話にならない。本来なら群の話の前にしておくべきだった帰納的可算集合(いわゆるRE集合)の話を補足して、やっと群の語の問題の判定アルゴリズム云々の話ができて、それでノヴィコフ=ブーンの定理のステートメントが述べられた。次に、有限表示群の語の問題の判定アルゴリズムの有無は群そのもので決まり有限表示の与えかたには依存しないことの証明。そして、レポート課題の追加。次回くらいにヒグマンの定理の話になり、あとは全力でその証明に向かうことになるので、それに関連した問題を2問出した。ひとつは自由群の自由部分集合に関するテクニカルな命題で、これにはほとんど答えのようなヒントを出した。もうひとつは、ヒグマンの定理とその周辺の話題についてまとめて書けという問題で、これはこの先の講義を聞いていればできるはずだ。

カバヤ・マストバイ果汁ジュレインチョコレート
娘へのお土産に買ったチョコ
マストバイ?

秋月康夫『輓近代数学の展望』ちくま学芸文庫版
きょう届いた本
いつまでも「代数は苦手で」では
いけないからな

それが済んだらまたまた再校ゲラ読み。なかなか終わりそうにもないので家に持って帰り、夕食の前にも後にも読み続けて、寝る前にようやく読み終わった。

歩数計カウント9,757歩。


2018年1月25日(木)くもり

有限表示群の部分群に関するG.Higmanの古い論文のこと。掲載誌が学科の書庫にないのでこれは取り寄せかと思っていたのだが、今朝になって改めて検索してみれば、大学図書館中央館の書庫にあるらしい。さっそく探しに行こう。電車で大学に行く。昔は図書館で論文誌を調べて必要なものをゼロックスでコピーするというのを頻繁にやっていたものだけど、論文誌の電子化が進んで、そういう作業もあんまりやらなくなった。こんなところにも時代の流れを感じる。

版元のウェブサイトに電子版はあるのだが、ずいぶん高く課金されているのが解せぬ。そりゃあ、他人の著作物を業務で利用するのに、タダで使わせろとは言わない。それに、電子版の作成、サイトの構築、サーバの維持、そのあたりにも金はかかるだろう。だからといって、1台の端末限定の30日間の期限つきアクセスに10ポンド(およそ1,100円)近くを払うのは、原著者や当時の査読者にはおそらくビタ一文渡らないだろうことを思うと、あまり気持ちよくない。レンタルビデオでも、これだけの旧作ならもう少し安いわなあ。

さて、きょうも昨日に引き続き、再校ゲラ読みと大学院の講義の準備。会議もある。

nCoくんの3年生ゼミでは、可測基数の話になった。二値可測基数が強到達不能基数であることの証明がテキストにないので、ひとまずそれを補足し、次に、測度がアトムを持つか否かに応じて、強到達不能な二値可測基数か連続体濃度以下で弱到達不能な連続値可測基数が得られることの証明をした。連続値可測基数が連続体濃度以下であることの証明で詰まってしまって、結局2009年に書きかけた自分の古いノートの世話になったのは恥ずかしかった。

その書きかけたノートというのは可測基数と《初等埋め込み》に関する基本事項をまとめようと思っていたものだが、ウォシュの定理をきちんと証明しようとして、そこで手が止まってしまったものだ。そういう難しくもないが面倒な部分は後回しにして、もっと面白いところを先に書いてしまうべきだった。いや、「べきだった」なんて仮定法完了形で言ってないで、今からでも書こうかな。

半分くらいまで再校ゲラ読みが済んだ時点で研究室を出て、元町珈琲の閉店間際まで明日の講義の内容を考える。昨日までにインプットした情報で話は済むが、群論の話と計算論の話の両方が出てくるので、喋る順序をどうするかはよく考えた方がよさそうだ。

歩数計カウント12,714歩。


2018年1月24日(水)くもり

かなり寒い。一時激しく降雪、しかし積もるには至らない。大学院の講義のネタを仕込む。それと、再校ゲラを読む。ゲラからの索引語の抽出を自分でやるのは初めてだが、粗忽な俺には、これは校正と同時にはできないことがわかった。なので、ひとまず校正のための読みに徹する。午後にはFD(ファカルティ・デベロップメント)講習会と学部の会議。

夕方には、春に東京でやるレクチャーの初めての打ち合わせをSkypeで実施。3月末までに資料を作り、4月~5月に予習会をやってもらって、5月下旬の土日に2日がかりで講義をするという流れ。内容は強制法入門で、連続体仮説の独立性をやる。2007年に静岡でソロヴェイのモデルの話をしたサマースクールや2013年に京都府立ゼミナールハウスで不完全性定理の話をしたセミナーなど


2018年1月23日(火)くもり

倅と一緒に電車で出かけ、朝7時半に大学に着いた。8時半からD教授の代理で線形代数の期末テストの監督をする。昨年11月28日に中間テストの監督を代行してきたのと同じクラスだ。日の出の遅い時期の寒い日の朝1時間目のテストで、しかも今回の問題は中間テストと比較して難しかったらしく、テスト中の教室内の雰囲気は決してよいものではなかった。

しかし、俺はなにより、きょうの授業の段取りを考えねばならない。教室内に目を配りつつも、昨晩頭にインプットした情報を紙に清書し、その過程で理解が怪しいと感じたところを計算し直す。

この講義では群の語の問題を論じるのだが、思いのほかロジックの中心的な話題との関連が密接だ。生成元と関係式による群の表示は、述語論理の完全性定理のエルブラン流の証明(→『キューネン数学基礎論講義』の§II.12)を群論の言語の等式の場合に考えた特殊ケースにほかならないし、語の問題の判定アルゴリズムのない有限表示群の存在をいうノヴィコフの定理からは、述語論理の恒真性判定アルゴリズムがないというチャーチの定理が(ひとつの2変数関数記号と有限個の定数記号だけからなる形式言語の場合に)すぐに導かれる。そうした関連が見えてきて、このテーマが俄然面白くなってきた。工学部の学生さんたちが線形代数の問題に頭をひねっているそばで、俺はひそかに「そうかそうか、なるほどなるほど、ほっほー」とひとりで興奮していた。

テストが終了して自室に戻ってからも、講義ノートを書く作業が続く。しかしなんというか、こうして毎度毎度、講義の開始時間直前まで講義ノートを書いているのも、なんだか期末テスト的だ。途中に昼食のための休憩を挟んで、13時半過ぎに講義ノートが完成。いつものように、A4用紙4分割を10マス半書いて、自分でも「さすがにきょう1回でこれだけは喋れないよなあ」と思った。

きょうの講義ノートはA4用紙三枚ぶん

で、実際に授業をしてみると、案の定、7マス半で時間切れになった。群の表示の基本のところと、有限表示群のゲーデル数化、最後に語の問題の定式化には触れられたが、ノヴィコフの定理のステートメントを述べる時間はなかった。そこで、次回(26日金曜日)は語の問題の話からやり直し、ノヴィコフの定理を述べ、自由積と融合積の話をして、可能ならば再帰的表示群の話をする。なかなかノヴィコフの定理をヒグマンの定理に帰着させる戦略にまで話が及ばなくて、講義の残り回数が足りるのか、そろそろ不安になってきた。

夜は9時まで大学に残ってちまちまと作業。結城浩さん新しい本の原稿のレビューを引き受けているので、先日読んで気づいたことをメールで知らせる。昨日編集部に送った連載記事の原稿は、さっそく編集さんのコメントがついて返ってきたので、週末に時間をみつけて少し書き直すことにする。歩いて帰宅。歩数計カウント13,303歩。


2018年1月22日(月)あめ

雨が降って、おまけに寒い。寝坊した。遅めに大学に着いて昼過ぎに原稿を編集部に送った。それから夕方5時過ぎまで卒業研究ゼミ。70分ずつを4人が担当する形にしたつもりが、連絡ミスで一人が準備できていなかったので、残り3人の発表が少しずつ延びたにも関わらず、6時までの予定より早く終わったのだった。ゼミが終わる頃、ようやく編集部から受け取ったという返事。これでひと安心。ボールが相手のコートに渡っているうちに、こちらの態勢を立て直そう。

きょうは首都圏に数年ぶりの大雪で、交通機関に大きな影響が出ているようだ。帰りの足のことを思えば、出版社の人たちも早じまいせねばならない。なので原稿についてのコメントは明日以降に、とのことだった。いやもう俺的には来週以降でもいいです。なんというか、今後ともよろしくお願いします。

曲がりなりにも原稿が仕上がったのはひと安心だが、間髪を入れず明日の講義の準備をせねばならん。文献を読みつつ、市内電車で市駅前に移動。雨はもうすっかり止んで、空には月がかかっている。

夜7時から、月曜日のお約束ピアノのレッスン。この曲もそろそろ弾くのが楽しくなってくる頃で、そうなると気の緩みが出て、ついつい細かいところの丁寧な練習をすっ飛ばしがちになる。で、そのまま本番を迎えたりすると、練習時には思いもしなかったところでミスが出たり、そうでなくても、独りよがりで聴くに耐えない演奏になったりする。もとより下手の横好きでやっていることではあるが、ちょっとでもいい演奏にしたいなら、慎重に進もう。

わざわざ安くもない月謝を払ってピアノを習っているのは、生活に少しでも潤いを与えようと思ってのことだから、スケジュールが詰まってきて気持ちの余裕がなくなりそうなときこそ、レッスンや練習の時間は大切にせにゃならぬ。

もちろん趣味の時間だけでなく、睡眠時間や食事だってそうだ。先週の金曜日は弁当を食うのが午後4時半とかだったが、きょうはきょうで、朝飯が遅かった影響もあって、昼飯を食うのが午後3時過ぎになった。まったくよろしくない。これしきのことで生活時間がわやくちゃになるのは、そもそも平常時の心がけがよくないからだ。そう思うと、妙に用事が立て込んでいるこの頃こそ、スケジュール管理について考えるいい機会である。

さて、レッスン後はいつものように市駅ビルのドトールコーヒーで文献読み。いつものように塾を終えた倅と一緒に妻の車で帰宅。歩数計カウント6,736歩。きょうは基本的に乗り物での移動のため歩数は伸びなかった。夕食後午後11時過ぎまで文献読みを続け、必要な情報がざっと頭に入った時点できょうの作業は打ち切り。もう若くもない身で睡眠時間を削るのは最後の手段である。できれば夜9時まで、遅くとも夜11時までには店じまいして明日に備えたいものだ。


2018年1月21日(日)はれ

昨日までに書いた原稿をざっと見直した。明日の午前中もっぺん見直して編集部に送る。昼食はうどん。夕食は家族で中央通のビッグボーイに行ってハンバーグを食った。疲れてるから日記はこれでオシマイにして寝る。


2018年1月20日(土)はれ

午前中、倅を連れて出かける。松山市駅と道後温泉を結ぶいよてつ市内電車3番路線に昨年導入された新車両に倅が乗りたがっていたからだ。松山市駅前電停で数本見送り、目当ての車両が来るのを待って乗車。道後温泉へ向かう。倅は勝手にこの車両に「あおチビヨッシー電車」と命名して喜んでいる。

いよてつ市内電車の新型車両
この車両ね(撮影は1月15日朝)

ashiyu20180120

道後に行っても、特にすることはないが、足湯を使い、伊佐爾波神社にお参りする。1時間ほどしてから、同じ型の車両に乗って中心街に戻り、ジュンク堂書店で、懸案だった結城浩『プログラマの数学 第2版』(SBクリエイティブ)など、何冊か本を買った。

きょう買った本。

午後は家にいて、パソコンとにらめっこしながら原稿を書く。今度の原稿では、図をTikZで作ることにする。


2018年1月19日(金)はれ

昨晩が遅かったこともあってなかなかエンジンがかからない。9時台の電車で大学に行く。朝は510くんのモデル理論ゼミ。『ゲーデルと20世紀の論理学(ロジック)②』第II部の坪井先生のテキストを読んでいる。単純なケースに限って述べられている証明の一般の場合を再構成するのに手間取って、きょうはあまり進まなかったが、次回からどうにか第3章「量化記号の消去」に入れそうだ。

お昼ごろにゼミが終了し、ただちにきょうの分の講義ノートの清書にとりかかる。昨日までに考えた内容をいつもの形式に書き上げたのが、講義開始時刻7分前だ。関係式の導入による群の表示まで、いつもの用紙に10マス半書いたが、喋ってみると、自由群の圏論的特徴づけまで、6マス半で時間が来てしまった。標準形(既約語)の一意性証明を丁寧にやりすぎたのかもしれない。だいいち、自由群とか群の表示とかの話は、幾何の講義でも扱っているはずで、聴き手の立場からすれば、あまり丁寧にやる必要はなかったかもしれない。しかし、話す俺の側としては、どうしてもこれが必要だ。なにしろ群論を扱う機会なんてそうそうないからな。ともあれ、次回のトピックは、関係式による群の表示・自由積・融合積。それから「語の問題」の定式化。

16時に講義が終わったあとで思い出したが、せっかく妻が作ってくれた弁当を食っていない。昼休みから14時半の講義の時刻の直前まで、講義ノートの清書に費やしたからな。というわけで夕方近くなってから遅い昼メシ。

21時前に歩いて帰宅。昼飯が遅すぎたせいで晩飯が食えず。明日こそは原稿を書かないと、と思ったが、数セミ2月号の竹内外史追悼特集を眺めながら、まもなく就寝。


2018年1月18日(木)はれ

卒研ゼミ生10kくんが質問に来た。基数の指数演算が単調増大であることの証明と、\(\cos\theta=3/5\) となる角 \(\theta\) が円周率の無理数倍であることの証明。前者は即答できたが、角 \(\theta\) のほうは少し考えた。

要するに複素数 \((3+4i)/5\) の整数乗が、ゼロ乗以外では決して1にならないことを言えばよくて、そのためには、ゼロでない整数 \(n\) について \((3+4i)^n\) が実数にならないことを言えば十分だ。そこで \((3+4i)^n=a_n+b_ni\) とおいて、\(n\) が正整数のときに \(a_n\equiv 3\), \(b_n\equiv 4\) \(\pmod{10}\) となることを数学的帰納法で示して証明が済んだ。

しかし、バナッハ=タルスキの定理の証明の一環で10kくんがやっている回転行列の計算からもっと強い結果が得られるはずで、この考察はいわば蛇足だ。

3年生nCoくんのゼミ。寺澤順『現代集合論の探検』で到達不能基数と測度問題に関するウラムの定理をやった。測度論を勉強したことがないnCoくんは、いまひとつ問題自体を評価できないので困っていたようだ。

それからTGSAセミナー。講演者は特別研究員のアレハンドロ・ドランテス=アルダマさん。今月末にメキシコに帰ってしまうので、最後にシャクマトフ教授との共同研究の発表をしてくれたのだ。カダさんも来た。夜の懇親会はいつものアミティエ、料理もいつものようには山盛りでないし、ワインも多すぎず少なすぎずで、たいへん好ましかった。とはいえ明日の講義が心配で俺はあまり酔えない。ちょっとした気まぐれで、電車と同じ時刻に出るバスに乗って電車の倍以上の時間をかけて帰宅。歩数計カウント8,360歩。

それから真夜中まで、明日の講義の段取りを考える。自由群の定義を復習し群の表示の設定を説明して、群の語の問題を定式化するところまでは、どうにか進めそうだ。身から出た錆とはいえ、今回のような綱渡りは良いことではない。もっと時間に余裕をもって物事に取り組まなくては。


2018年1月17日(水)あめ

小雨が降ったりやんだり。寒くないのはありがたい。

修論作成中の ねげろん からTikZでの作図の相談をうける。TikZというのはLaTeXシステムの graphicsパッケージ/graphicxパッケージpict2eパッケージの代替となる拡張パッケージで、TeX文書のソースに作画コマンドを記述する形で、グラフィックス機能を提供してくれる。これがまた、とても高機能で、マニュアルPDFが1,000ページ以上ある。相談をうけるといっても、マニュアルを検索して実験しての繰り返しだ。俺は普段はAsymptoteを使っており、TikZはほとんど使っていないのだから仕方がない。まあ、ねげろんの修論に載せる図版はそれほど難しいものではなかったから、どうにか対応できたけど。

いまはTikZがTeXでのグラフィックスの主流である。自分はAsymptoteを使っているが、学生さんがTeX文書に自分で図を入れたいというときにはTikZを薦める。自分だってこの先のことを思えば乗り換えたほうがよいのかもしれない。

いろいろの進捗が思うようにいかない。まあしかしそんな時こそ落ち着いていこう。歩数計カウント10,257歩。


2018年1月16日(火)くもり

朝、倅と一緒に出発。銀天街のドトールに行ったはいいが、薬を飲み忘れていることに気づいていったん帰宅。それから大学に移動。近著の再校ゲラが事務室のメールボックスに届いているのを受け取って研究室に行き、昨晩下書きした講義ノートを清書。これに昼までかかった。

昼休み、某機関に大学院修了を控えた ねげろん が提出する調書づくりを手伝う。それが済んで、やれやれ原稿に向かえるわいと思ったら、13時ちょっと前に、山内ゼミ4年生でオケのクラ吹きのみゅーさんが来て、TeXをインストールしたけど動かないという。見れば、MacBookのOSがMavericks(OS X 10.9)のままだ。MacTeXに含まれるTeXLive2017のデフォルトのバイナリ(x86_64-darwin)はYosemite以降でないと動かない。これについては TeX Wiki対策が書いてあって、UNIX用TeXLiveインストーラでインストールしてx86_64-darwinlegacyというバイナリを使えばよい。学内無線LAN経由で簡単にインストールはできるが、それなりに時間はかかった。OSが古いままだと、こんなふうに新しいソフトを入れるときにしばしば不便な目に遭うし、だいいちセキュリティ上も好ましくないから、アップデートしておいてほしい。とはいえ、大学4年生や大学院M2は卒論や修論で大変なこの時期にパソコンの設定を下手にいじらないほうがいい。卒業研究やら何やらが一段落してからアップデートするようにアドバイス。

で、時刻は13時50分くらい。少し原稿をいじって、14時30分から16時までが大学院の講義。万能計算機、再帰的部分関数、チャーチ=チューリングの提唱、停止問題の決定不能性と、ほぼ予定どおりに進んだ。手持ちのレパートリーではここまでが限界で、計画どおり群の語の問題の話をするためには、大急ぎで次回以降のネタを仕込まねばならない。

講義のあと、夕方16時20分から夜19時前まで、枝eくんの卒業研究追加ゼミ。戸田山和久『論理学をつくる』(名古屋大学出版会)を読んで、単項述語記号のみをもつ述語論理におけるタブローの方法の信頼性を学ぼうと思っていたのだが、このテキストでは、どういうわけか途中でその話が《蒸発》して行方不明になっている。さて困った。発表をどうまとめたものやら。

原稿の進捗はいま一つだったが、いつもの俺らしからぬ、無駄のない時間の過ごしかたができた、充実した一日だった。これからしばらくは、こんな調子で、原稿書きと、ゲラ読みと、講義の準備と、卒研発表会の心配とを同時進行させることになる。いつもの俺らしからぬ、マルチプレイをせにゃならん。これではまるで、生きてる人間みたいだ。

夜20時30分頃。大学の建物を出ると、空気がずいぶん暖かい。なんだろうなと思っていたら、小雨がパラつきだした。


2018年1月15日(月)くもり

朝は倅と一緒に電車で出かける。松山市駅ビルのドトールコーヒーでしばらくO下さんのドラフトに目を通し、それから市内電車で大学へ。新型車両に初めて乗った。

書評原稿が一段落したので中断していた連載の原稿にとりかかる。頭の中にあらすじはできていて、それを形にするのだが、目に見える文章の形にするのは、頭の中でアイデアをいじっている時と違って、なかなか一筋縄ではない。

午後は卒業研究ゼミ。今年度は3人(後期には4人)にそれぞれ別のテーマでゼミをやってもらった関係上、それぞれの進度がゆっくりになった。発表内容がなかなか固まらないうちに、残されたゼミの回数は数えるほどだ。さて、どうしたものか。

夜はピアノのレッスン。本番まであと1か月と少し。だいぶ通るようになってきたので弾くのは楽しい。といっても、まだまだ人前に出せる演奏ではない。

この頃には珍しく、倅の塾が済むのを待たずに電車で帰宅。歩数計カウント9,770歩。夕食後、明日の講義のノートを作るのだが、下書きで精一杯だった。


2018年1月14日(日)はれ

この時期恒例のあの仕事で、朝から夕方までほぼ立ちっぱなしだった。応援要員として工学部に行ったのだが、業務終了後は理学部に戻って、書評の原稿を編集部にメールで送ったり、けさ届いたO下さんの草稿をプリントアウトしたりのちょっとした作業をし、昼飯の弁当箱を洗ってから、歩いて帰宅。歩数計カウント16,000歩。

ちょうど16000を示す歩数計

これだけ「ぴったり」な数字になるのは珍しい。それに数値がけっこう大きい。歩幅60センチとしても9.6キロ。けっこう歩いた勘定だ。


2018年1月13日(土)はれ

数学科合宿2日目。朝のつどいでラジオ体操をして、宿泊室の掃除をする。午前中のプログラムは、各チームに昨日の研修の成果をプレゼンしてもらう発表編だ。学生さんたちには、自分のチームの成果を発表するだけでなく、他のチームの発表の評価もしてもらう。教員がつける評価と合わせて、もっとも優れた発表をしたチームに、賞品として「計算用紙とお菓子」をプレゼントするのだ。ただし、俺は例によって写真係を務めたので、発表の評価をしていないけど。

土曜日ともなると、朝のうちから小中学生のスポーツクラブがやってきて賑やかである。おかげで、俺たちが食堂に行った頃には、昼食バイキングの揚げ物が完全に絶滅していた。わははは。

昼食後は自由時間。一面の雪野原になった「ふれあい広場」で雪だるまを作り、全員で集合写真を撮る。14時にバスで「交流の家」を出発し、15時半ごろに松山に戻って解散。帰宅して温泉に行った。歩数計カウント10,502歩。


2018年1月12日(金)ゆき

倅と二人で電車に乗るために駅へ向かう。南東の空に、新月間近の細くなった月と、消え残った白い明るい星が見える。あれは金星だろうか。大学には7時40分頃に着いた。集合時刻は9時10分だ。それまで自分の部屋で過ごす。

O下さんとディスカッションするつもりで参考文献をひと山持ってオフィスを出たが、集合場所に行ってみると、O下さんは昨晩から体調を崩しているので参加を見送るという。残念だがまあ仕方がない。アイデアを書いてメールで知らせてくれるというので私用メールアドレスを知らせる。

さて、皆でバスに乗って出発したはいいが、大洲付近は昨晩からけっこうな積雪があって、高速(松山自動車道)も伊予インターから先が除雪作業のため通行止めだという。仕方がないから国道56号線を行く。大洲についても、山道の除雪が追いついていないから、青少年交流の家までバスで登っていくことができない。バスで登れるところまで登った後は、交流の家のスタッフがミニバンをピストン運転してくれた。平日には利用者がほとんどないこともあり、「ふれあい広場」もどこも、足跡ひとつない雪野原になっている。これはなかなか見られない光景だ。

雪化粧した大洲青少年交流の家

昨年までと同様、合宿では、学生さんたちにチームを組んでもらい、われわれが用意した数学の問題にチャレンジしてもらう。俺が出した問題は、三角数が平方数でもあるというケース、すなわち方程式 \(x(x+1)=2y^2\) の整数解と、ペル方程式 \(a^2-2b^2=\pm1\) の整数解との関係について考えてもらい、さらにペル方程式の解法を考えてもらう、というもの。「三角数イコール平方数」の解からペル方程式の解に至るのはヒントがないと難しいかも知れないと思って誘導を多くしたのだが、どっこい、この問題に取り組んだのは秀才510くんと整数論ゼミの院生KMDくんだ。下手に易しくしたのは、余計なお世話だったかも知れない。

学生さんたちが問題に取り組むのを見守りつつ、教員一同は日頃の事務仕事から解放されて思い思いに数学の論文を読んだり書いたりしている。俺は書評の原稿を仕上げるために関連する本を読み進める。平和で充実した時間である。O下さんからの連絡メールは夜に届いた。本当を言えば、身体を気づかって寝ていてほしいところである。

歩数計カウント10,341歩。


2018年1月11日(木)はれ

朝、自分と娘の弁当を作り、倅と妻に朝飯を出してやり、自分も朝食をとり、8時半ごろ家を出た。水たまりに氷が張っている。天気はよいが、とても寒い。朝9時すぎに銀天街のドトールコーヒーに行ってコーヒーを飲みレタスドッグを食って、1時間ほど本を読んだ。それはいいのだが、レタスドッグの最初のひと口と一緒に、包み紙の端っこのあたりを一緒に食ってしまった。

食いちぎった跡のある包み紙
これじゃあヤギさんだ。メェメェ。

10時40分ごろ大学に着く。洋書の業者さんが来たので、Gambini and Pullin の代金をお支払いした。で、また別の本を見せていただいた。

ハードカバーの洋書の表紙

D.J.MaddenとJ.A.Aubreyの “An Introduction to Proof through Real Analysis” (Wiley, 2017)だ。タイトルからすると何か論理学の怪しい専門書のようにも思えるがそうではなくて、解析学入門と並行して証明の書き方を指南するという趣旨の教科書らしい。英文が読みやすいものなら、学生さんたちに読んでもらってもいいかもしれないな。

そろそろ昼休みかなという頃にO下さんがやってきた。先日からの問題について大きな進展があったという。明日からの合宿の間に議論して細部を詰めることに。うまくいってたら、TGSAセミナーで発表することにしよう。

J.C.Oxtobyの本 “Measure and Category” (Springer, 1971/1980) で、シェルピンスキ−エルデシュ双対定理の証明を復習したが、思いのほか簡単である。少し考えてみたが、連続体仮説を仮定する限り、エルデシュの1943年の論文 (P. Erdös, «Some remarks on Set Theory», Annals of Mathematics (Second Series), Vol. 44, No. 4 (Oct., 1943), pp. 643-646) に述べられたこの構成法が「標準的」であるといえそうだ。どんな方法で双対写像を与えたとしても、あたかもこの方法で構成したかのように「見せかける」ことができる。

午後はnCoくんの3年生ゼミ。無限基数の積の冪等性。基数の共終度。正則基数と特異基数。後続型基数が正則であることと、ケーニヒの不等式 \(\kappa^{\operatorname{cf}(\kappa)}>\kappa\) まで進んだ。

明日は、この寒さのなか、大洲の山の中の青少年交流の家まで行かねばならない。せめて寝間着を暖かいものに換えようと、夕方からフジグランに行った。それから電車で帰宅。歩数計カウント13,358歩。


2018年1月10日(水)あめ

朝から寒く、小雨が降る。倅は昨日も今日も早起きできない。まったく、月曜日のあれは何だったんだ。倅と一緒の電車に乗って大学まで行ったら朝8時過ぎ。いつもよりだいぶ早い。午前中は来週末が締め切りの原稿書き。まだ細部に詰めるところは残っているし、分量が多少オーバー気味なのでスリム化しないといけないが、だいぶ形にはなってきた。

午後、510くんのモデル理論ゼミ。飽和モデルの話の続き。演習問題に「代数的でない(無限に多くの解をもつ)論理式が代数的でないタイプに拡大できることを示せ」という演習問題があったのだが、タイプが代数的であるとはどういうことか、そもそも定義がテキストに書いてないので困った。代数的な(解が有限とおりしかない)論理式を少なくとも1つ含むタイプのことを代数的なタイプというのか思って、それならと証明を考えたのだが、なにせ定義が書いてないので確認のしようがない。他のテキストを調べたら、いくつかのテキストでは、「十分高い濃度の飽和モデルにおいて解が有限とおりしかないタイプのことを代数的タイプという」とされている。いっぽう、特定のモデルでタイプの解が有限とおりしかなくても、そのタイプは代数的とは限らない、という例も、テキストに示されているのだ。

あとで気付いたが、有限個の解しか持たないが代数的な論理式を含まないタイプの例としてテキストで示されているものは、モデルをより大きな濃度をもつ飽和モデルに初等拡大すると、そこでは無数の解をもつ。だからここで言われていることは、別段矛盾しているわけではない。

夕方には会議というか週末の仕事の打ち合わせのために工学部へ出向く。そのときは小雨が降っていたが、理学部へ戻るときには雨から雪になっていた。とても寒い。

部屋に戻ってしばらくするとO下さんが昨日の話の続きをしに来た。もちろん、俺も昨晩からちょこちょこ考えていて、時間を見計らってこっちから出向いていこうかと思っていたところだ。すぐ分かるケースはできたので、話をさらに進めるために(少なくとも俺サイドは)もともとのエルデシュの定理のテクニカルな細部を勉強しなおさねばならない。

歩数計カウント13,028歩。電車で行ったわりに歩数が伸びた。


2018年1月9日(火)くもり

午後は卒業研究ゼミ。前半、2個の集合 \(A\) と \(B\) の直積 \(A\times B\) がまた集合になることと、配置集合(集合 \(A\) から集合 \(B\) への写像全体の集合 \(B^A\) のこと)がまた集合になること。公理的集合論の一般的な教程では冪集合公理だけで済ませるところだが、上江洲先生のテキストでは、順序対の構成を特定していないし、関数を順序対の集合と同一視してもいないので、少しばかり話が長くなる。後半、述語論理のセマンティクス。通常は、議論領域・解釈・アサインメントの3つ組を与えて論理式の真理値を定めるが、戸田山先生のテキストでは、それに先立って、議論領域と解釈だけで論理式の真理値を定める流儀の説明がなされる。自由変数のない閉論理式にだけ真理値を割り当てるものとして、アサインメントの代わりに、特定の個体定項についてだけ値の異なる解釈をいろいろ取り替えることで量化記号の意味づけを処理するのだ。近年ではこの流儀のテキストも増えてきているという。これからは来月中旬の卒業研究発表会を視野に入れてゼミをやらねばならん。全員が違うテーマをやってるのでなかなか大変だ。

ゼミのあと、O下さんがやってきて、今週末の合宿で出す問題に関連して気づいたことを話してくれた。ひとつはベールの性質をもたずルベーグ不可測な集合の存在証明だが、群論的な手法を使った代数学者ならではの構成だった。これに対して、こちらからは超限帰納法によるベルンシュタイン集合の構成について説明した。もうひとつ、シェルピンスキ−エルデシュ双対定理から独自に派生させた話題は面白かった。それに関連していろいろ問題を思いついたが、誰かに先に解かれたらつまらんから、詳しくは言わない。

夜20時ごろに帰る。建物を出ようとしたら雨。いったん4階の自室まで傘を取りに戻って、再び建物を出る時には、いやまして強い降りになっており、風もあって寒い。かなわんなあと思いながら、傘をさして歩き出すと、正門を出て数分で雨も風も止んでしまった。いつものように40分ちょっと歩いたが、その間、途中5分ほど小雨がパラついた程度だった。人騒がせな天気だ。


2018年1月8日(月)成人の日くもり

倅に昨晩「火曜日から学校だから明日は試しに早起きしてみよう。7時の電車に間に合うように起きてくれよ。」と言ったら、倅は今朝なんと5時に起きてきた。こちらとしては、普段起こしに行ってる時刻の6時20分頃を想定していたのだが、確かに昨晩は、そのあたりの詰めを怠った。時計と相談しながら自分で行動を調整するということを、中学1年生の倅はまだ知らないのだ。

倅に早く起きろと言ったのは俺だから、もっぺん寝ろとも言いにくい。妻は昨晩2時ごろまで作業をしていたようだから起こすわけにいかない。というわけで、俺が起きて倅の相手をし、朝飯を食わせる。倅は眠そうな顔ひとつせず、漢字ドリルをやったり本を読んだりして過ごしている。面白い奴だ。

昼と夜のメシの用意を担当。昼食はうどん。具は刻み油揚と刻み葱、それとワカメ。祝日とはいえ子供らが夕方に塾に行くというので、早めに夕食を用意する。中華つけ麺。俺は麺は少なめに食べて、昨晩の白ご飯の残りでレトルトの《男の極旨・黒カレー》を食った。夕食の後片付けを済ませ、子供らが自分の部屋に引っ込んでから、静かになったキッチンで、明日以降に備えて、牛すじと大根の煮物を作る。

朝があんなだったから、一日じゅう頭が冴えない。いやまあ、俺の頭がボンヤリしてるのは今日に限らないか。で、夜は夜で、妻の作業に1時ごろまでつきあう。正月休み直後の連休でもあり、生活リズムが崩れっぱなしであった。


2018年1月7日(日)くもり

明け方5時前に目を覚まして、トイレに行ったついでに、何の気なしにツイッターをチェックしたら、数学基礎論好きの学生さんたちが、レーヴェンハイム=スコーレム定理を普遍クラス V に適用できるのかできないのか、という話をしていたので、エアリプで答えを書いたら30分以上かかって、それから二度寝して次に目が覚めたら9時前だった。きょうは娘のところへお友達が遊びにくるから、家の中を人並みに片付けないといけない。あわてて飛び起きてリビングとキッチンの片付けを手伝う。片付けが一段落したところで妻はいつものようにバイトに出かけた。

しばらくして、娘に連れられてやってきたのは可憐な女の子である。娘が男友達を連れてくるというなら何を差し置いても家にいるところだが、まあ今日は倅と3人で気兼ねなく遊んでもらうことにして、俺は県立図書館へ。ある理由でゲーテの『魔法使いの弟子』について調べたかったからだ。備え付けのコンピュータで蔵書目録を検索するが、この検索システムでは「ゲーテ全集」の目次がわからない。もともと目録に記録されていないのだろう。探しようがない。パウル・ツァウネルト『ドナウ民話集』(冨山房インターナショナル)に「魔法使いの弟子」という民話が収録されているのを見つけたが、これはまったく別の話だった。児童書のフロアには「まほうつかいのでし」という名の絵本が2種あった。そのうち学研版(文:大石真:文、絵:柳原良平)を借りてきたが、もう一方の、福音館書店版(文:上田真而子、絵:斉藤隆夫)のほうが好きだな。

12時半頃図書館を出る。街には振り袖姿の若い女がいっぱい。それに、日曜日だというのにスーツ姿の若者がたくさん(たむろ)している。そうだった。きょうは松山市の成人式の日だった。というわけで、みなさん成人おめでとうございます。

昼食はCoCo壱番屋のカレー。納豆のせ、400グラム2辛。それとあと、キリンパーフェクトフリー。その後は大学へ行って、少し原稿を書いたり、書評を読んだりして過ごす。


2018年1月6日(土)はれ

倅はどうもこのごろ英語に関心があるようだ。正月休みに買ったジェームス・バーダマン『毎日の英文法』(朝日新聞出版)が気に入ったらしい。版元のウェブサイトで配布している例文の音声ファイルを聴く手段として、小さいMP3プレーヤーを買い与えることにした。朝のうちにダイキに行って買ってきたのはプリンストンのUB-FMP8G/BUという機種。4,000円弱の小さなデバイスだが、FMラジオも受信できるし、ボイスメモにもなるらしい。たいしたもんだ。倅はさっそく自分の声を録音して喜んでいる。

自分でも『毎日の英文法』の例文をiTunesに取り込んでiPhoneで聴いてみた。聴き取れない、あるいは理解できない、という例文はほとんどない。しかしどうも自分で発話できるとは思えない。俺も勉強せにゃならん。

さてさて、川添愛『精霊の箱』(東京大学出版会2016年)を午前中に読み終えた。たいへん読みごたえのある物語だった。しかし前編である『白と黒のとびら』をまだ読み終えていない。本来ならそっちを先に読むべきだ。明日にでも大学へ取りに行くことにして、たくさんある積ん読本のうちから安藤俊介『どんな怒りも6秒でなくなる―イライラをなくすアンガーマネジメント入門』(リベラル社)を手に取る。

いつもなら土曜の午前中に行く近所の温泉に、きょうは昼食後に行った。正月休みのうちに、どうやら体重が1キロほど増えた。まあ、うまいものばかりご馳走になったし、酒もたくさん飲んだからね。入浴前後の体重差は前回同様0.5kgくらい。

夜は二番町の「はしまや」に飲みに出かけた。明日開催される俳句のイベントのために、のらんぶるが松山に来ているのだ。美味しい魚料理を楽しみながら日本酒をたくさん飲んで、俺はかなり酔っぱらってしまった。遅れてやってきたO下さんと3人でアマンダコーヒーに行ったが、眠くなってきたので先に退席。注文して飲み切れなかったグランデのソイラテをこぼさないように気をつけながらタクシーで帰宅した。


2018年1月5日(金)くもり

朝のうち、ほんのちょっと雨が降ったが、傘をささずに出て、電車で大学に行く。一応きょうから日常に復帰という形だが、大学はまだ冬休みであり、出入りする人も少ない。しかも金曜日で、明日から3連休ときている。何通かの文書に目を通し、何通かメールのやりとりをし、訪ねてきた学生さんたちと少し話をする。LaTeX使い方の相談とか、本のレビューのこととか。

もっと細かく記録しておけばよかったのだが、暮れに持ち帰ったたくさんの本の入ったバッグを持って来ることに気をとられて、うっかりポメラを持たずに来てしまったのだ。

帰りは徒歩。ありがたいことに、脚の痛みはもうほとんどない。


2018年1月4日(木)はれ

妻実家5日目にして最終日。出初式の放水を見てから、朝11時半に柳井のホットモットでお弁当を買って、周防大島は伊保田港までドライブ。港でお弁当を食ってフェリーに乗り込んで松山に戻る。(なお、こういう文脈で俺がドライブの話をする場合、必ず妻の運転である。俺は車の免許だけは持っているが、免許取得から25年間、一度も公道で自動車を走らせたことがないから、絶対に運転しない。)16時過ぎに帰宅し、すぐにダイキやニトリに行って日用品を買う。

溜まった「て日々」の更新を済ませて、明日は平常運転。


2018年1月3日(水)はれ

昼食のパスタを担当。フェットチーネ、ベーコンとほうれん草のトマトソースがけ。あと、野菜のコンソメスープも作った。どちらもうまく作れなかった。申しわけない。


2018年1月2日(火)はれ

よい天気である。妻実家のリビングでは岳父が例年通り朝から箱根駅伝の中継を見ている。ひねくれ者の俺はどうも駅伝というものが好きでない。駅伝というのはチームプレイで、苦しい思いをして長距離を走るだけでなく、タスキをリレーしていく。自分が苦しくても、チームのため (というより、背負っている看板のため)、やめるわけにいかないのだ。そういう「みんなのためにガンバル」というところに、個人プレイのマラソンとは全く違った、なんだか息苦しい感じがある。まあ、だからといって、義父が中継を観るのを止めはしない。

何か少しくらいは手伝いをしないと、ごちそうになってばかりでは気色が悪い。昼飯の焼きそばを作った。具は豚肉とタマネギとキャベツとパプリカ。味付けはオイスターソース。まあ、別にどうというものではない。

午後、買い物につきあう。昨日無理したおかげで右脚が痛い。果子乃季(かしのき) こと あさひ製菓の本社直売所でお土産のお菓子を買う。マックスバリュで食材を買う。ドラッグストアで日用品を買う。

『精霊の箱』上巻を読み終えた。いよいよ話が面白くなってきた。下巻を持って来なかったのが悔やまれる。荷物を必要最小限にするように普段から心がけているのに、今回は酒瓶が2本あるし、妻から「紅まどんな」を一袋買ってこいという指示が直前に入り、本を何冊も持ってくるわけにいかなかった。それで『精霊の箱』上巻と、シェーンフィールドの古い数理論理学の教科書だけを持ってきた。これまで何度も妻実家に滞在した経験から『精霊の箱』も下巻まではどうせ読んでいる暇がないだろうと踏んでいたのだ。そのくせシェーンフィールドの教科書を持ってきたのは、巻末付録として群の語の問題の解説が載っているから、大学院の講義の参考に目を通しておかにゃならんと思っていたからだ。まあ、明日はそちらを読んで過ごすことにしよう。

晩飯はカニ鍋。妻の従姉の家から岳父がもらってきたんだそうだが、6人がかりで食い切れないほどのカニなんて初めてだ。


2018年1月1日(月) 元日はれ

というわけで新年である。今年も妻実家でお雑煮とお屠蘇がわりの日本酒を頂戴し、初詣に行くつもりで妻の車に同乗したが、しばらく走った頃に、娘があからさまに不機嫌になったので、たまらずに俺一人車を降りた。妻であろうが娘であろうが、いや、情が移っていればなおさらのこと、俺は不機嫌な女のそばにいることには、一瞬たりとも耐えられない。海沿いの国道を歩いて妻実家に戻るのに、ざっと3時間かかった。

一年の計は元旦にありという。この分では、どうも相変わらずの一年になりそうだ。それでも、新しい年を迎えての抱負みたいなものも、ないわけではない。

まだ詳細は言えないが、今年は連載の仕事を頂戴した。すでに毎月の締め切りが設定されていてiOSのカレンダーに書き込んである。それと、まだ詳細が決まってないが、4月ごろに「数学カフェ」で講演させてもらえることになった。集合論の話をする。いつも言っていることだが、こういうのはお呼びがかかっているうちが華であるから、がんばって上手にやりたいと思う。そんなふうに、集合論の話をさせてもらえる計画が他にも進行中であるから、準備段階で詳細なレジュメ(というと語義が矛盾しているけど)を作って、「何年も前から書く書くと言ってほったらかしになっているあの本」に向けて確実に1ステップ踏み出したい。

昨年1年間で《読書管理ビブリア》に登録した本は41冊。専門書ならともかく、ありとあらゆるものを含めて1年でたったこれだけとは、なさけない数だ。俺は専門分野の最先端の高みを究めるなどという営みからはとっくに脱落しているのだから、せめてもっと広く、数多く、いろいろな本を読むべきだ。

読むことと書くこと。俺が今後、自らに課すのは、要するにこの二つだ。集中力を高めないといけない。そのためには、時間管理が肝要になるだろうな。