て日々

2018年6月


2018年6月30日(土)くもり

昨晩は大雨だったようだが、朝にはほとんど止んでいたように思う。先日スーパーで買った半田そうめんを昼に食ったらけっこう美味しかった。一日だらだらとほとんど寝て過ごした。このごろ毎日どうもそんな感じでいけない。夕食は小坂の大岩で中華。


2018年6月29日(金)あめ

日中けっこう雨が降ったが、火曜日と同様に、俺が外出しているときは降ってなかった。

「数理論理学」講義。自由変数と束縛変数。よい代入とまずい代入。それから公理について。命題演算子に関する公理と∀の関する公理まで喋ったところで時間が来た。次回は∀に関する公理のところからやりなおし。

講義のあとは、いろいろの進捗のことはひとまず諦めて、竹内外史『数学的世界観』(紀伊国屋書店1982年)を読んだ。夕方は宮西のブックオフに行ったり、フジグラン松山のフードコートに行ったり。歩数計カウント19,501歩。


2018年6月28日(木)くもり

昼間、どうにも眠くて仕方がなかった。もちろん卒業研究ゼミの面倒はちゃんと見たし、明日の講義の最小限度の準備はした。何人か研究室を訪ねてきた学生に対応した。しかし、それ以上の進捗はほとんどなかった。まあ、仕方がない。夜、妻の車で家まで運んでもらい、風呂に入ってメシ食って寝た。

どうせ一度にできることは一つなのだから、適度にフォーカスし適度にリラックスして、その時々に一つのことに当ればいいだけのことなのだが、ガキの頃からどうもそれが身につかない。やりたいことが沢山見つかる膨張期と、そんなに沢山ことが一度にできるわけないと気づく収縮期が交互にやってくる。興味が拡散しがちな人生のおかげで、いろいろ雑多なことを知っているように見られるが、本当のところ、俺は何も知っちゃいないのである。このままだと、死ぬ間際になってアレもやってないコレもやってないと慌てふためく未来が思いやられる。しかしまあ、これから性格が変わるとも思えないから、そういう人生だと思って生きるしかないね。


2018年6月27日(水)くもり

午前中は研究室で来客に対応。やはり名刺くらいは持とうと思った。午後は数理論理学の講義。述語論理の論理式の構文について。今回の小テストはちょっと難しかったかもしれない。申しわけないな。講義のあと、学部の会議。帰り道を歩きながら自分のことや世の中のことを考えて、もやもやした気分がどうにも収まらなくなったので、もやしと豚肉をたくさん買って帰り、山盛りのもやし炒めを作った。そうしたら、少し気が晴れた。歩数計カウント15,958歩。


2018年6月26日(火)くもり

朝、三番町ガーデンプレイスカフェで少し物書きをしてから県立図書館へ行って本を返す。現状、読む本がなくて困っているわけでなくその逆なので、何も借りなかった。その後、銀天街GET3階のセリアで計算用紙を買ったりセブンイレブンで昼飯を買ったりしてから大学へ。雨が降ったり止んだりだが、俺が外に出ている間はなぜか降らなかった。しかし蒸し暑くてかなわん。そう思っているのは俺だけではなかったようで、ようやく仕事場のエアコンが始動した。ありがたいことだ。

午後、理学部のパンフレットに必要だとかで、写真を撮りに2年生の演習クラスへいった。真面目に演習をしている写真が欲しいし、まず最初にそう伝えてから撮影しているのだけど、カメラを向けるとポーズを取る学生さんの多いこと多いこと。今年の3年生・4年生のクラスに比較して、この2年生たちは雰囲気が明るいというか、くだけているというか、いつも楽しそうだ。学年のカラーというのは、確実にあると思う。夕方は新入生セミナーAの授業。1年生のクラスについてはまだデータが十分にはないが、いまの3年生4年生よりは2年生に近い気が、なんとなくする。

集合論テキストのスタイルファイルをjsarticleからjsbookに変更し、全5章からなる書籍のスタイルにした。反映できるこれまでの赤入れは反映させた。(簡単には反映できない赤ペンを赤色のままTeXファイルに書きこんでしまうという技を、プリントアウトする前に思いつかなかったのが悔まれる。)まだ完成というわけにはいかないが、確実に進んではいるのだ。現在、A4用紙10ポイントで130ページほどだ。A5判とかB5判の本にしたら200ページくらいになるだろうか。内容が薄いわりにページばかり多くていけないな。

夜は帰り道に元町珈琲に寄る。歩数計カウント19,239歩。


2018年6月25日(月)はれ

けっこう暑い夏らしい日になった。歩いて出勤したら汗だらけ。しばしの間、半ズボンに替えて汗がひくのを待つ。昼休みにnCoくんの質問に答える。順序数 \(\alpha\) より大きな基数の存在を選択公理を使わずに示すハルトークスの証明について。それと、卒研発表で何を話すかという話。しかしまあ、それはまだ先のことだ。

ハルトークスの証明というのは、与えられた順序数 \(\alpha\) に対して、\(\alpha\) またはその部分集合の整列順序づけの順序型であるような順序数全体は(冪集合公理と置換公理により)集合になり、その最小上界は、\(\alpha\) への単射の存在しない最小の順序数となり、したがって \(\alpha\) より真に大きな基数(しかもそのようなもののうち最小のもの)になる、という議論。そこで、アレフ系列 \(\langle\,\aleph_\alpha\mid\alpha\in\mathrm{Ord}\,\rangle\) は選択公理がなくても定義できる。決定公理などのオルタナティブな集合論を考えるにあたって、このことはけっこう重要である。

連載の9月号掲載分の原稿を編集さんへ送った。夕方はTGSAセミナー兼数学談話会。このごろTGSAセミナーがずっと月曜開催なので懇親会に行けない。夜はピアノのレッスン。8月下旬に楽器店主催のイベントがあるので出し物を決めた。

レッスン後はドトールコーヒーで、少しだけ集合論テキストの読み直し。まだ書き切れていない強制言語の扱いについて、この数日モヤモヤしていたが、結局は普遍クラス \(V\) のSat述語が書けないのと同様の理由で、「絶対的なブール値」はホンモノの論理式に限定してメタ理論における帰納法で定義するほかない、という結論に落ち着きそうだ。


2018年6月24日(日)はれ

少し朝寝をしているうちに、妻は昨日の続きで研修に出かけてしまった。天気がいいから洗濯ものを干そうと、洗濯機の置いてある脱衣場に行くと、洗濯機の中にも外にも、洗濯物が山のように積んである。すでに洗い済みのように見えるが、よくわからない。妻は何も言わずに出たし、妻が洗濯をしかけてから俺が見るまでの間に、子供たちがこれから洗って欲しいものを積んでしまった可能性もある。間違えるなら安全な方に間違えようと思って、もう一度洗うことにした。まあ、天気がいいから、乾くでしょう。

昼食は娘が茶そばを山口名物の瓦そばふうに作ってくれた。なかなか旨かった。午後は倅を連れて街へ出かける。銀天街のセブンイレブンでアイスクリームを買って円光寺の境内で食べ、それから書店に行った。主な目的は前田量子『誰でも1回で味が決まるロジカル調理』(主婦の友社)という料理法の本だ。先日、Amazonで「量子論理」に関する本の検索をかけたらこの本がヒットして、なんだか興味をそそられたのだ。俺にとっては「量子論理」で「前田」とくればなんといっても、故・前田周一郎先生の『束論と量子論理』(森北出版)だし、Amazonでもそちらが筆頭に上っていたのだけどね。で、量子論理関係で検索にかかった本としては、あと、ピーター・ギビンズ『量子論理の限界』(産業図書)があった。読んだことはあるが、どんな内容だったか、いまひとつ思い出せない。きっと、読めていなかったのだろう。

夜には、チャットで 先日 とは別の人の相談に乗った。


2018年6月23日(土)くもり

いつものような土曜日。朝は例によって温泉。いつものように汗をすっきり洗い落して気分はよいが、傘を持っていかなかったのに帰り道が小雨だったのがちょっと残念。妻は昼のうちなにやら研修に外出。昼食に冷やしうどんを作る。いろいろの具を多めに乗せて彩りはいいが、タレがいまひとつ上手に作れなかった。子供らは文句も言わずに食ってくれるが、俺としてはちょっと不満な仕上がりだった。近いうちにやりなおしたい。昼食後は、さて書店に行こうかどうしようかと思いながら、結局どこへも出かけず長々と昼寝。そのあたりもいつもの土曜日である。妻が疲れて帰ってくるだろうと思って、夕食の用意もした。あまり手間はかけていないけど。

昼飯のうどん
昼飯の冷しうどん(ツユをかける前)
具はしいたけ・かにかま・ちくわ・わかめ・錦糸たまご、などなど

晩飯
晩飯のおかず
鶏肉の漬け焼き・餃子・チーズちくわ・ポテトサラダ・生野菜などなど
箸休めの小鉢は4人でシェア

原稿の読み返しもそれほど進んでいないし、いろいろ本が読めていないし、こんなことじゃいかんのだけど、例によってグータラした土曜日だった。


2018年6月22日(金)くもり

倅の登校につきあってずいぶん早く家を出発したもので、朝の7時半に大学に着くという、何やってんだかよくわからん状態。講義ノートは昨晩のうちにできているし、小テストの印刷も済んでいる。あとは、昨日のうちに作った解答例を人数分コピーする。講義の内容は命題論理のコンパクト性の証明。鍵となる考察の一部(命題論理の論理式の集合 \(\{X,\neg Y,(X\rightarrow Y)\}\) などなどが充足不可能であることを真理値表を書いて確かめる作業)を、証明の途中で小テストとしてやってもらった。そこそこいい流れだったと自分では思う。

昼食は來來亭のラーメン唐揚げ定食。夜は元町珈琲に寄って、原稿の読み返しなどなどをした。歩数計カウント17,100歩。書き留める前にリセットしてしまって数字がうろ覚えだが、たしかこれくらい。どのみち下2ケタは誤差の範囲なので、あっさり切り捨て。


2018年6月21日(木)くもり

日中はどんより。夕方から晴れ間が見えだした。倅と一緒に朝早い電車で出発したので、ひとつ手前の駅で降りて、少し遠回りしながら街へ出て、例によって三番町ガーデンプレイスカフェで文書を書く。それから大学へ移動して、午後は卒業研究セミナー。A7くんは板井さんの本でDPLLアルゴリズムとWangのアルゴリズムをやり、教育実習を終えて久々に登場したnCoくんはキューネン『集合論』のセクションI.10「基数」に入った。

途中いろいろあって時間がかかったが、みなさんのおかげで、、どうにか集合論テキストの内容に最後まで証明をつけることができた。あとは赤入れというかバグ出しというか、前に戻っていろいろの調整をする。総計150ページくらいになる。先日の数学カフェの講義や今年度後期の大学院の特論の内容としては十分すぎる分量だが、タイトルどおり「公理的集合論入門」とするには、Lのことやら何やら、書かねばならぬことがまだいろいろある。まあ、それはおいおい考えることにしよう。家に帰って夕食のあと、明日の講義ノートを作る。歩数計カウント13,064歩。


2018年6月20日(水)あめ

昨晩は寝ている間じゅう、無意識に雨音を聞いていたような気がする。早朝はけっこうな雨。しかし、雨は昼前にはほとんど止んでいた。子供らが学校へ出かけてから、昨日下書きまでやった講義ノートを清書する。まあ悪筆の俺のことだから、清書といえどもやっぱりキタナイ。それから、消防署の向かいの松屋で妻と昼食をとってから大学に行き「数理論理学」の講義をする。

きょうの講義内容は坪井明人『数理論理学の基礎・基本』(牧野書店)の§2.4。命題論理の論理式の集合を充足する真理値割り当ての話。このセクションはとても短かくて、これだけでは時間が余る。しかし次の§2.5のコンパクト性の話に入ると時間が足りない。そこで、「命題論理の論理式はいくつあるか」という話をした。\(n\)個の命題変数に関する命題論理の論理式は無数にあるが、それらを真理関数と思えば全部で\(2^{2^n}\)個であること。積和標準形と和積標準形。それと、可算無限個の命題変数に関する真理関数は \(2^{2^{\aleph_0}}\) とむちゃくちゃに多いが、命題論理の論理式は可算個しかないので、有限個の場合と違って、すべての真理関数を命題論理の論理式で表現できない。そういう話。論理学が集合論に接続するその手前までの話をした格好だ。

その後、大学図書館に入れる学生用推薦図書リストづくり、数セミ原稿の校正、小テストの採点と集計、などなど。小テストを採点してみるに、今年も「ならば」の真理値表で間違っている受講生が何人かいる。金曜日の講義で注意喚起せねばならんが、それを言ったら、俺もヒドいもので、先週金曜日に引き続いて、今回も小テストの配布用解答例に間違いがあった。ごめんなさいごめんなさい。

朱色の小さな花
写真は本文とは関係なくて
日曜日に見かけた路傍の花

帰り道、マルナカで少量無菌パックのお惣菜などなど数点を買う。それをリュックにしまって元町珈琲に寄ってみたところ、いつになく混んでいて。普段あまり入らない西側の区画に通される。まあ、そんな日もある。歩数計カウント13,710歩。昨日の日記でボヤいた最後の補題について、またしても薄葉さんがツイッターで示唆をくれて、今度こそ証明がついた。いやはや、薄葉さんには足を向けて寝られない。できてみると、なんで今まで自分にこれができなかったのだろうという自然な証明だ。わかってしまった途端に今までわからなかった理由がわからなくなるという、数学あるある。


2018年6月19日(火)あめ

少し本を読み、少し明日の授業の準備をして、チャットで少し人の相談に乗り、昼休みに会議に出る。午後も同じようなペースでゆるゆる進み、夕方の新入生セミナーの授業を見た。

集合論テキストは、どうしても証明できない補題がひとつだけ残っている。先日ツイッターで「ここがわからん」とぐちゃぐちゃ言ってたら、見かねた薄葉さん (@usb_usb) がアドバイスをくれて、そのときは、そんなことでひと月以上悩んでいる自分がアホに思えるほど自明に感じられた。きっと、この補題は実際に正しいのだろう。しかし、この場合の自明さは《強制定理》をマスターした者にとっての自明さだ。俺としては、この補題を《強制定理》の証明、とくに等号の強制の定義をめぐる議論に使いたい関係上、この補題自体の証明に強制定理を使うわけにいかないのだ。ここさえ突破できれば、あとはすべて、すでに見通しが立っている。

雨で荷物が濡れるのには懲りたので、リュックサックにカバーをかけ、持っていった小振りの傘ではなく研究室に備えている大きめの傘をさして大学を出る。実際には、たいした降りではなかった。羹に懲りて膾を吹くというやつだ。妻の頼みでスーパーに寄って食材を買って帰宅。歩数計カウント10,927歩。


2018年6月18日(月)くもり

朝、大阪で大地震。大阪や京都は親族含め知人が多い。ありがたいことに、親兄弟は無事のようだ。母はメールに返事を寄越した。庭に出ているときに揺れたという。兄とはLINEで連絡がついた。出勤中に電車が止まってしまいカンヅメになったが冷房が効きすぎて寒くてかなわんと言っていた。これから数日間、現地では余震に注意せにゃならず、気が抜けないだろう。気にはなるが、さしあたり俺にできることはない。

歩いて大学に行ったら、けっこう汗をかいた。昼間はぐだぐだと過ごし、何も進捗なし。夕方、ピアノのレッスンに行く。先週指導をもらったとおり、全体を、極力やわらかく力を入れずに弾く。それでも鳴るところはずいぶん鳴る。もともとが、そういう楽譜なのだろう。発表会は11月だが、8月のイベントにも出ませんかと言われたので、出しものを考えよう。レッスン後はジュンク堂書店に行き、カフェには寄らず、電車で帰宅。ひさびさの休肝日。歩数計カウント11,611歩。


2018年6月17日(日)はれ

昨日に引き続き、家にじっとしているのがもったいない晴天。妻はなにかの研修を受けに出かけ、娘は友達と街へ遊びに出かける。俺は昨日に引き続き、倅を午後に散歩に連れ出す。電車で高浜に行き、ひとまず松山観光港まで海沿いに歩く。それから引き返して、高浜には戻らず黒岩の鼻を回って梅津寺まで行く。昨年の海の日に一人で歩いたのと同じコースだ。あのときと違うのは、潮位がずいぶん低い時刻だったこと。月齢3から4という若い月との関係もあるのだろう。初めて見る潮の低さだった。おかげで、梅津寺の海岸がいつになく広々と、干潟のように広がっている。その海岸を倅と探訪し、いろんな生きものが見れて楽しかった。

青っぽい色のヒトデ
ヒトデ

青っぽい色のヒトデ
ウミシダ
初めて見た

小さなヤドカリ
ヤドカリはお昼寝中だった
邪魔してごめん

そこそこ歩いたが、歩数計を着けずに出かけたのでカウントなし。


2018年6月16日(土)はれ

午前中、例によって温泉に行く。家にじっとしているのがもったいないような快晴だ。昼食には例によってラーメン。菊水の生麺を使い、創味シャンタンと醤油と胡麻油でスープを作り、もやしとメンマと妻を、じゃなくて、妻が昨日調理した煮豚を乗せる。午後は倅を散歩に連れ出し、宮西のホビーオフに行く。倅はドラゴンボールのキャラクターのフィギュアに興味を惹かれたようだが「3Dになると、なんかおっかないねぇ」とも言っている。何も買わずに店を出て、キスケBOXのエルベで買ったアイスとポテチを、南味酒公園に行って倅に食べさせ、自分はエビスビールを飲む。それから、夕食の材料を買おうと、今度は萱町のエルベに向かっているところで、歯医者の診察を終えた妻から連絡。エルベの店先で合流して、妻のクルマでいったん帰宅。萱町のエルベで買った鶏肉(手羽中)を、自家製のタレ(というと聞こえはいいが要するに適当な調味料のごたまぜ)に漬けこんでおいて、ダイキへ葦簀(よしず)を買いに行く。長い葦簀を車に積み込むと、助手席に座れないので、俺だけ歩いて帰ることに。ついでのことだからダイソーにも寄って帰り、東側の壁に葦簀を設置してから、晩飯の用意を始める。

食い物の写真

晩飯は手羽中のタレ焼き、かぼちゃの煮付け、もやしの和えもの、ガーリックライス。久々に人前に出せそうなものになったのでツイッターに写真をアップ。しかしこうやって見ると俺の作る食いものはいつも黄色いな。歩数計カウント19,795歩。わりとよく動いた。


2018年6月15日(金)はれ

昨日はちょっと天気が怪しかったけどきょうは好天。昨日は午前中ぐだぐだ過ごしたけどきょうは8時すぎには大学に着いて、9時すぎには「集合と位相I」の期末テストの最後の1問のマルつけと得点の集計を開始。途中に「数理論理学」の講義を挟んで、午後に「集合と位相I」の成績処理を済ませた。

今月1日に期末テストを実施してから2週間も引っぱった。その間は、他のことをしていても「本当はあれをやらんならん」と気になって仕方がない。《やらねばならんこと》をサボる代わりに《やりたいこと》も我慢してバランスをとる。結果として有意義なことは何もできず、どうでもええくだらないことで時間を過ごしてしまう。俺にはそういう、現実逃避型の思考回路が内蔵されているらしい。《やらねばならんこと》をやらないなら、きっぱりと《やりたいこと》をやればいい。中途半端に罪悪感なんか感じていても、なんにもならん。そして、どのみち《やらねばならんこと》からは逃げ切れない。それは当たり前だ。逃げ切れるくらいなら、それは《やらねばならんこと》ではない。早めに腹を括って《やらねばならんこと》と《やりたいこと》の両方をきっちりやるほうがいい。運動不足のところで摂取カロリーを減らしてバランスをとるより、たくさん運動してたくさん食うほうがよほど健康的なのと同じ理屈だ。

「数理論理学」講義第2回は、真理値表と真理値割当の話。それからトートロジーについての話。昨晩ちょっとだけだが準備もしたので、初回のようにグダグダにはならなかった。途中の小テストで、命題論理の論理式の構文木の問題を出した。自分が配布した解答例が間違っていたことを、授業終了後に受講者に指摘された。あわてて「ごめんね〜」と言ったら、いつも最前列で聞いている秀才172くんが莞爾として笑って「大丈夫です。こんなもんくらい、みんな自分の答えのほうが正しいってわかってますから。」という。採点してみたら、まさにそのとおりで、ほぼ全員正解であった。安心した。だけど、やっぱりこれは申しわけなく恥かしい。

恥じ入りながら、話は変わる。前にもやっていたのだが、きょうの昼間、仕事中はずっと、iMacの環境音再生専用のChillというアプリとiTunesを併用して、鳥のさえずりと渓流のせせらぎの効果音を重ねてループ再生していた。少し離れた場所に置いたダイナブックからも同じ渓流のせせらぎ音源を時間差で再生した。おかげで、環境音だけはまるで人里離れた山の中だ。しばらくはこれでいこう。半端なBGMよりよほど気分がいい。

帰りにスーパー日東に寄り道しつつ、歩数計カウント14,521歩。


2018年6月14日(木)くもり

午前中は三番町ガーデンプレイスカフェとか書店とかを徘徊し、午後に卒業研究ゼミをやり、夕方になってから、集合と位相のテストの採点を6問中5問までやり、それから明日の講義の準備をした。夜の22時すぎに歩いて帰宅。歩数計カウント15,739歩。

俺はどうやら、1時から5時まで寝て、それから10時まで仕事をして、そのあと自分の面倒を見る、というサイクルを毎日午前と午後の2回繰り返しているようだ。普通は1日が1サイクルのところを、俺は小さく2サイクル回している。1日あたりの生活時間の分布としては、8時間寝て10時間働いて6時間その他の活動をしているわけだから、それほど異常ではないはずだが、昼の1時から5時までを死んだ人みたいに過ごしているところだけ見れば、穀潰しと呼ばれても仕方ない気がする。


2018年6月13日(水)はれ

朝から一日じゅう、実に気持ちのよい晴天。朝は9時から10時まで会議。会議を終えて、生協の購買部にいくと、たまたま受けもちの1年生4人グループがいた。新入生セミナーのポスター発表のために実験をするというのだが、ライターとお湯がいるという。俺はタバコを吸わないが、100円ライターくらいなら買ってやるよ。で、お湯を沸かすために研究室に来てもらう。ドアに貼った山田デイジーのマンガからの引用や、部屋に吊した「仕事じゃねぇんだぞ」Tシャツなどを、若い子らがいちいち面白がってくれるので楽しい。ペットボトルにぬるま湯を入れて1年生たちが部屋を去ってから、「集合と位相」のテストの採点の続きをちょっとずつ進める。昼は生協の弁当。

午後は数理論理学の講義の初回。命題論理の論理式の構文の話。毎年のことながら、初回はどうも気分がのらない。往復とも妻の車で運んでもらったわりに、会議と講義のおかげでそこそこ歩数が伸びて、歩数計カウント9,680歩。

やる気のないあひるやる気のないあひるやる気のないあひる

話は変わる。このごろはもっぱらDebianをインストールしたDynabook R63/Tでもの書きをしている。思わず知らずその使用感に慣れてきたのだろう。けさ久々にMacBook Proに触ったところ、トラックパッドのクリックの硬さに驚いた。力を入れてグイっと押さねばならんように感じられたのだ。このMacBook Proは、何年間も、それこそ毎日のように使っていたパソコンで、キーボードの感触にもすっかり馴染んでいたはずだし、頻繁に使っている間は、クリックに力がいるなどという印象は持たなかったのだが。

日本語入力メソッドはだいぶSKKに馴染んでしまっているから、Windows PCで急いでメールの返事などを書こうという時、一瞬なにをやっているのかわからなくなることがある。意識的に、頭をSKKからMS-IMEに切り替えねばならないが、これにずいぶん時間がかかる。MacではAquaSKKを使っているので日本語入力には問題はないが、すでにコマンドキーとCTRLキーの使いわけを指が忘れかけている。かれこれ四半世紀もMacを使ってきたのに、なんてこった。


2018年6月12日(火)はれ

明日から数理論理学の講義も始まるというのに、期末テストの採点結果も待たれているというのに、空にはようやく晴れ間も見えたというのに、なんだかクタクタで、モチベのモの字もない。集合論のテキストだけは進んだ。強制関係のグローバルなセマンティカルな定義を述べ、強制法の基本定理を述べて、次に基本定理をブラックボックスとしてジェネリック拡大が集合論の公理をみたすことを検証する。まあまあの進捗だが、そのぶん時間もとられている。ううむ。

これでいよいよ、あとは強制法の基本定理の証明以外にすることがなくなった。カレーのなかの人参を最後まで残してしまう子供みたいなもんで、いちばん厄介な部分を最後に残してしまっているわけだ。この部分はめんどくさい。しかし「本当に書きたい本」を書くための必要不可欠なステップだし、盛り込んでみたい自分なりの工夫がないこともないので、ゆるゆるとでもやることにしよう。

そんなわけで日中はモヤモヤした気分で過ごした。新入生セミナーの授業が終った夕方6時ごろから、ひとまず期末テストの採点を始める。これまたいつものことで、できないわけはないのに、スタートするまでのハードルが高い。6問のうち2問マルつけをして今日のところは中断。金曜日には成績をつけ終わっていなければならないので少々こころもとないのだが、しかしとにかく手をつけたということで、気分が好転するきっかけにはなった。

22時くらいまで作業して帰宅。歩きながら、こないだの東京での講演のあとの飲み会のことを楽しく思い出した。俺はそれほど物を知らないのでアレだが話題は豊富なほうがいいよなあ、と思って「会話の引き出しは…」と独り言を言ったつもりが「会話の風呂敷は…」と言ってしまい、夜道を歩きながら一人で笑ってしまった。


2018年6月11日(月)あめ

三番町ガーデンプレイスカフェに行ったら、今日からコーヒーが250円になっていた。まあそんなことはよろしい。9時すぎまでいて、歩いて大学へ移動。大学に着いて程なくして、静かにしかし決然と雨が降りだした。台風が沖のほうをかすめて通ってることもあるが、今年の梅雨はなかなか本気らしい。まあ、その雨も、夕方には一段落したけど。

夜はピアノのレッスン。11月の発表会の曲はすでに決まったので、ひとまず全体をゆっくり、一貫してメゾピアノくらいで通せるように練習しようという話になった。ついつい力を入れてしまって指はくたびれるし音はギスギスするし、なんてのは、そろそろヤメにしないといけない。帰りはドトールには寄らずに歩き、宮西のブックオフに立ち寄る。なんかホビーオフ併設になって本屋部分がずいぶん圧縮された。うーん。これでいいのか? しかしまあ、輸入物のジャズピアノアレンジのビートルズ曲集などなどが安価に手に入ったのでよかった。ムスメへのお土産に、デジタルカメラ術の本とかイラスト術の本とか買ってやる。ホビーオフにはドラボンボールのキャラクターのフィギュアがいっぱいあったので、今度倅を連れてきてやろう。歩数計カウント15,667歩。


2018年6月10日(日)あめ

なんかいつもより早く、5時頃に目が覚めたが、休みだから寝直してやれと二度寝したら、奇妙な夢をたくさん見たように思う。《すべての圏と関手の圏におけるハウスドルフの問題に対する嘉門達夫の例について、銀行の会議室を飛び込みで借りて、同僚たちと議論する》というシーンがあったり。同僚たちというのは昨日の業務を引きずっているのだろうと想像はつくが、なぜ抽象圏論?なぜ嘉門達夫?なぜ銀行の会議室?

いつもの調子で昼のラーメンを作る。午後、倅と妻と俺の3人で街へ出た。ムスメは昼前から友達とお出かけだそうだ。まず3人で本屋に行く。俺と妻はそれぞれに本には目がないクチだからいいが、どうも倅は本に関心が薄いようで困る。本屋を出たあとは妻はキンコーズに行くという。俺は倅にアイスクリームくらい食わせてやろうと商店街を歩く。何があったのか知らないが、きょうは街を歩いている高校生っぽい人たちが普段よりずいぶん多い気がした。そのせいもあって銀天街のサンマルクカフェに入り損ねて、大街道まで足を伸ばし、三越の地下に行ってみたり。そのうち別働隊の妻から、キンコーズが休みだから出直すと連絡。しゃあないからアイスはいったん帰宅してから近所のスーパーで買ってやった。俺と妻は改めて車で安城寺町のフジに行き、食材をたくさんと、酒を少し買った。で、夕食は買ってきた鰹のタタキとチキン南蛮。実は昼食のついでに、大豆もやしの和え物とか、挽き肉の炒めものとか、作って冷蔵庫に入れていたし、そのように妻にも告げていたのだが、妻はすっかり忘れていたらしい。まあ、キッチンに立つと、俺だってそうなりがちだ。

キッチンに立って料理をするときはどうしても、自分の裁量ですべてをとりしきってやるぜ、という気持になる。料理というのはそういう《家のヌシのシルシ》みたいなものになっている。ついでに言えば、かつて、《主婦》という言葉は、家に複数の女房たちがいることを前提に、そのトップを意味する誇り高い称号であったらしい。そして、台所と食卓は家の構成員の生存のわかりやすい象徴であり、そこを支配することが、主婦のシルシであった。だから「台所をあずかる主婦」という言葉はあっても、「洗濯場をあずかる主婦」という言葉はない。もちろん時代は替わって、いまではこの意味の《主婦》という言葉は二重三重の意味で(核家族化の進行・女性の社会進出・上下の力関係がなければ協働できぬという軍隊メンタリティの崩壊…)時代遅れである。だからもう死語になってもらっていっこうに構わないのだけれども、「家では台所を仕切るやつが一番偉い」という観念は、これからもズルズルと残り続ける気がする。

毎朝欠かさず飲まねばならぬクスリを、昨日・一昨日と飲み忘れたので、なんだか調子が出ない。いろいろの進捗は諦めて、夜は22時ごろに寝てしまう。


2018年6月9日(土)はれ

朝、例によって温泉に行く。昼飯に「すだちおろしうどん」を作ろうと思い立つ。スダチのさわやかな香りと大根おろしのさっぱりした感じがこの時期には好ましいのだが、しかし考えてみれば、初夏のこの時期にスダチがあるはずはないし、それを言えば大根だって怪しいのである。スーパーでスダチを手に入れることができなかったので、瓶詰めのスダチ果汁で代用。それなりに美味しかった。

毎年この時期の行事として、学科の後援会総会と教育懇談会という、学生の親御さんを招いてのイベントがある。広島から来ている1年生の男子学生のお母さんが個別懇談希望というので、学生生活担当教員として対応するために、午後から出勤。とはいえ、お母さんとしても、とくに悩みがあるという話ではなく、こちらとしても、1年生の6月上旬の時点では成績のことなどもわからないので、出席状況は良好、週1回のリテラシー科目の授業で見かける様子では問題はなさそう、授業日程はこんな感じ、彼の履修した科目の時間割はこんな感じ、という程度の情報提供しかできない。

夕食も担当。焼き肉用の「塩だれ」を使ったもやし炒めと、そうめん(揖保之糸)と、アボカド。なかなか美味しくできて、子供らに好評だった。


2018年6月8日(金)くもり

昨日の日記にも書いたが、ねげろんが昨日の晩から松山に来ている。今日から三連休だというのでガールフレンドを訪ねてきているのだろう。昼飯を食いに行こうというので、一番町のダイワロイネットホテルの1階のおいでん家に行った。こだわり郷土料理御膳というのを頼んだら、北条風鯛飯と宇和島風じゃこ天と小河豚の天麩羅と刺身と、あと小鉢ものと吸い物とデザートとコーヒーがついて1,600円。とてもコスパがよい。平日の13時半ということもあって、心地よいジャズが流れる店内は、混んでいるでもなく実に快適。満足満足(^-^) ゼミ生A7くんの卒業が決まったら、nCoくん共々、ここへ連れてきて奢ってやることにしよう。


2018年6月7日(木)くもり

午前中に、集合論テキストのセクション9の、連続体仮説の独立性の証明を、ひとまず書き終えた。読みたがる人もいるだろうと思ったので、現状のPDFを根上さんに送った。さてさて、あとはセクション8の強制法の一般論を残すのみ。だが、なにしろ、ここが一番めんどくさいのである。昼飯は校友会館の食堂 haco の500円ランチ。ご飯とソフトドリンクのおかわり自由。スープつきだと550円。生協の学食でも、ちゃんと食うとそれくらいの値段になるので、ご飯おかわり自由の500円は、実はかなりお買い得だ。それに、学食ほど混まないしね。

夕方から元町珈琲に行って、セクション8をどう書くか考える。9時ごろまでいて、帰りにレジでコーヒーチケットを新しく出してもらっていたら、ねげろんとガールフレンドが入れ替わりに入ってきて驚いた。「さっき東京から着いたばかりです」だそうだ。


2018年6月6日(水)あめ

まるでやる気が出ないので、急遽、今週土曜日の休日出勤の代休をとることにした。それでまあ、家でダラダラしていた。水曜日は妻が夕方遅めの時刻に非常勤講師の仕事に行くので、俺かムスメが夕食を担当する。きょうは俺がポークジンジャーを作った。


2018年6月5日(火)あめ

午前中、妻と二人で外出。まず県立図書館に行く。新着図書の棚に拙著『「集合と位相」をなぜ学ぶのか』を見つけて嬉しかった。同じ新着図書の棚に、本の雑誌編集部編『絶景本棚』(本の雑誌社)というビジュアル本を見つけた。これはムスメが喜ぶだろうと思って、数学や物理の本何冊かと一緒に借りてきた。次にタリーズコーヒーに行きコーヒーを飲む。タリーズで妻が自分の授業の資料つくりをしている間に、俺は隣のUQモバイルの店に行って、WiMAXルーターの契約をしてきた。このダイナブックをはじめとするいろいろな情報端末を旅先(たとえば妻の実家など)で使うには、こういうものが必要だと思ったからだ。昼飯は鎌倉パスタ。それから大学へ行き、夜までちまちまと、集合論テキストのセクション9を書く。強制法を応用して連続体仮説の独立性を示す最後のセクションである。一番やっかいな、強制法の一般論をやって基本定理を証明するセクション8が最後に残ることになるが、仕方があるまい。進捗ゼロよりはマシだ。歩数計カウント12,211歩。


2018年6月4日(月)はれ

11時すぎに松山に戻ってきた。松山空港から乗ったバスが道後温泉行きだったので、大学へ行く前に道後商店街の土産物屋に行って、ほしかったTシャツを購入。

真剣にやれよ。仕事じゃねえんだぞ!

夜にはピアノのレッスンがある。夕方すこし早めに家に楽譜を取りに戻って、ついでに少しだけ練習する。先週はほとんど練習しなかったので、今週は少しがんばって取り返さないといけないな。レッスンでは上手に弾こうなどと考えるのはやめて、ゆっくり丁寧に弾いた。レッスン後、ジュンク堂に行ってアーテンシュテイン『数学がいまの数学になるまで』(丸善出版)を買い、ドトールコーヒーに移動。

後期の大学院向け講義の資料でもあるから、熱のさめないうちに集合論テキストを書いてしまいたい。強制法の一般論は、等号の強制の自分なりの定義(といってもキューネン本の定義と実質同じもので、ブール値集合論での定義との照応が一目瞭然であるように書き直しただけのもの)がうまくいっていることの証明で詰まって、そこで手が止まっていた。ここはキューネン本やウィーバー本を参照して証明を完成させなきゃならん。その先の、\(\kappa\times\omega\) 上の有限部分関数による連続体仮説の否定の強制の証明については、昨日喋ったとおりの説明を整理して書けばよい。セクション8(強制法の一般論)よりもセクション9(連続体仮説の独立性)が先に書けそうなので、そうしてもいい。

とかなんとか考えてばかりいたら、1時間経って閉店間際になっても、コーヒーが半分ほど残ったままだった。歩数計カウント12,771歩。


2018年6月3日(日)はれ

ホテルで朝食をとり、今日の午前中の内容を紙に書き出す。いつも講義の前にやっているようにA4用紙4分割したもの8マスに書いた。目安としてはこれくらいが90分だ。8時半ごろ宿を出て会場に向かう。日本橋本町の舗道に紫陽花がきれいに咲いていた。会場入りの前に、どこかのカフェで続きを考えようと思っていたのだが、日曜日の大手町界隈は人も少なく、開いているカフェもない。しかたがないので、ファーストスクエアビルの麓のパブリックスペースで所在なく座わって、開場までの時間を過ごす。

講義ノート

日本橋本町のアジサイ

昨日来てくれていた東大の研究員の西辻さんが、きょうはご親戚だかご友人だかの結婚式だというので、礼服で登場。式場に向かう前に志賀浩二『無限からの光芒』(日本評論社)をわざわざ持ってきてくれたのだ。感謝しつつ、朝の講演でこの本を、三十数年前に自分の人生を変えた本と紹介。少しは反響があったようだ。志賀先生の本で紹介されているシェルピンスキの『連続体仮説(L'Hypothése du Continu)』についても、いずれ必ず詳しく解説したいと思っている。

昨日はけっこう丁寧に公理の紹介をしたが、きょうはうんとスピードアップして、順序数と再帰的定義と累積階層の話を午前中に済ませた。午後に基数の話、連続体の話、と進むが、強制法の詳細を語る時間はとれそうにない。15時に終わる予定だったのだが、ひとコマ追加講演をして、結局17時前までかけて、コーエン強制による連続体仮説の独立性証明の概要(デルタ補題・可算鎖条件・基数の保存)を話し終えた。自分も疲れたが、聴くほうも大変だったろうと思う。最後まで熱心に聴いてもらい、いい質問をたくさんもらえて、ほんとうに助かった。

川辺治之さん、きなこさん、鯵坂もっちょさん、ナカナカピエロさん、乾さん、などなど、ツイッターでフォローしたりされたりの沢山の人に、初めてお会いする。裏難波大學マスターのそうじさんや、でぃぐや、草津でお目にかかった山田さんにも、それと若き数理物理学者のでんこちゃんにも、久々に会えた。男中心の研究者コミュニティで孤軍奮闘しているでんこちゃんを、似た境遇にある根上さんに紹介するのも、今回の上京のねらいの一つだったのだ。まあ、もともと顔見知りではあったらしいけど。

講演終了後、日比谷バーというところでウチアゲ。どういう話の流れだったか、主催者の根上さんに『ヴェニスに死す』を(岩波文庫の実吉捷郎訳で)読むよう宿題を出した。それと映画、『1999年の夏休み』と『ベルリン天使の詩』。人に勧めるだけじゃなく、俺もいろいろの本を読んだり映画を見たりしなくちゃいけない。この先たとえ大学が没落しても、先人が培ってきた文化は生き延びさせなくちゃならないからね。その意味で、この「数学カフェ」のような試みは有意義だ。これからも長く続けてほしいから、根上さんには(健康第一で)がんばってほしい。俺もだらけてばかりいないで、俺ができることをやろう。こんな風にたまに旅行して「やる気」を充電するのも悪くない。

日本橋から大手町へ行くぶんにはたいして離れていないが、6枚のホワイトボードが並ぶ部屋を動き回って6時間にわたって講演し、その後、大手町から有楽町へ歩き、さらにそこから歩いて日本橋の宿まで戻ったので、久々に二万歩を超えて、歩数計カウント20,052歩。


2018年6月2日(土)はれ

なかなか爽快ないい天気の日になった。空港でお土産を買い、妻とせがれに見送られて飛行機に乗る。11時すぎに羽田に着いて、モノレールから山手線で東京駅。丸の内北口で主催者の根上さんと待ち合わせて打ち合わせをするはずだったが、先方から体調不良で動けないと連絡。それは大変なので家で養生してもらうことにして、スマホのナビを頼りに大手町の会場へ向かう。場所を確認したがまだ時間があるので、となりのビルの地下で昼飯を食った。

そんなこんなで、しゃべりの準備がろくにできていない状態で「数学カフェ集合論回」が始まってしまった。もちろんつい2日前まで100ページ以上書いて書いて書きまくっていた内容なので、アドリブで話せないわけではない。しかし、そうなると、設定された時間内に設定したゴールへシュートを決めるということは極めて困難。途中に休憩を挟んで90分×2コマを話して、どうにか、公理的集合論が「血統書つきpure setの世界の理論」を作ろうとしていること、形式言語の概要、集合論のそれぞれの公理の意味あいと使いみち、無矛盾性証明の戦略、そこまで話すことができた。順序数には入口のところしか触れられなかったし、基数の話はまだ全然だ。事前の目論見と比較すると、進み方は2/3というところか。明日が思いやられる。ただまあ、会場の反応は悪くはない。熱心に質問してもらえるのは、とても助かる。何人かの方から著書や訳書にサインを求められた。セッション終了後は、何人かの参加者と、大手町タワーの地下でベルギービールと軽食。しゃべりまくった直後なので、まあビールの美味いこと。というか、やっぱり名刺くらい作ってくりゃよかった。

宿は日本橋三越前。部屋は狭いが、感じのいいところだ。なにはともあれ風呂に入って汗を洗い落とし、部屋着に着替えて、ツイッターで薄葉さん(@usb_usb)や池上さん(@DaiskeIkegami)ら真面目な集合論研究者たちが講演の先行きを案ずるタイムラインを読み、さあ明日はどういうオチへ持っていくかなあ、などと思いながら寝てしまう。歩数計カウント17,096歩。


2018年6月1日(金)はれ

朝、銀天街ドトールでモーニングAセットを食いつつひとり作戦会議。午後は「集合と位相 I」の期末テスト。なんで前期の真っ只中のこの時期に期末なのかというと、前から言っているとおりで、うちの学科は思うところあってクォーター制をマジメに実行しているのだ。

連載原稿の入稿と講演の資料の入稿を昨日のうちにどうにか済ませ、きょう期末テストを済ませたら、なんか肩の荷を降ろしてしまった感があって、すっかり緊張がほぐれてしまった。本当は明日と明後日がひと仕事だし、テストの採点も来週中には済まさにゃならん。そのあと第2クォーターが始まって、3年生向けの数理論理学の講義がある。そう思うと、肩の荷が降りているはずもないのだが。

さしあたり、明日からの講演をどう始め、どう終わらせるかを決めにゃならん。が、ネジの緩んだ頭で妙案が浮かぶわけもない。夕方、元町珈琲に寄って、またしても「あれれLinux PCがセキュアなWiFiにつながってくれないぞ」なんてことをやりつつ、エビングハウスのツェルメロ伝を眺めていたら、数学カフェ主催者さんからメッセージが届いた。急いで帰宅して、チャットで明日の打ち合わせをする。多忙な若手の研究者が、自分の研究活動だけでいっぱいいっぱいになっていても不思議ではないだろうに、人の世のために志を立てて、非営利の一般向け数学講演会を定期的に開催しているという、いろんな意味で尊いイベントだ。招いてもらえただけで俺にはもったいないくらいで、貢献などは思いもよらないが、迷惑だけはかけないようにしなくちゃいけない。

後日追記:エビングハウスのツェルメロの伝記、ろくに読まないうちに第2版が出てしまっている。うーむ。PDF版で59.49ユーロとな…

とても天気がよくて、それほど暑くもなくて、外を歩くのは気持ちがよかった。週末もこの調子だといいな。歩数計カウント15,499歩。